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商標で事業継承:相続対策

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

商標で事業継承:相続対策

会社が大きくなり、財産も十分に形成した経営者様であれば、
次に考えることって何でしょうか?

上手く、お子さま・お孫さんにその会社を承継することですよね。
その際にも、商標は力になることができます。

過去のコラムでは、経営者ご自身での商標の取得をお勧めしてきました。

この会社承継編では、商標を取得していただくのは、
この先会社を承継させたい後継者様となります。

 

第1回の会社支配編で書かせていただいたように、
会社の商標を取得しているということは、
会社の支配権の約1/3を有しているということなのです。

つまり、その承継者様は、商標権を持っているというだけで、
会社の所有者になっているということです。

既に、会社に取締役等で参加されている承継者様は
もちろん商標権者になることができます。
しかし、商標権の特殊性は、
まだまだ小さい承継者(例えば、0歳から)に有効である点です。

さらに、例えば、現在公務員をやっている承継者様、
及び、他の会社に修行に出ている承継者様に有効です。

商標は単なる権利で、
特許庁に10年おきに維持年金を支払う以外の義務が一切伴わないので、
どなたでも取得することが可能です。
例えば0歳の乳幼児であっても、商標権を取得することが可能ということなのです。

 

たまに、相続対策で、お子さま・お孫さまにアパートを立てて
所有者にしてあげるなどということを聞きますが、
その場合、贈与税等の問題も生じますし、その物件の管理も必要です。

0歳の乳幼児にはアパートの管理も、当然できないので管理コストもかかります。

それに対して、商標権は、取得の際と、
10年毎の更新の時以外にコストがかかりません。
つまり、管理が非常に楽なのです。

商標は管理が楽です

このように、商標権には承継にとっても、非常に便利なツールなのです。

そのため、お子様・お孫様といった後継者様のために、
今のうちから商標を取得しておくというのはいかがでしょうか。

きっと、「お父さん!お爺ちゃん!ありがとう!」ってことになると思います。

ただし、ここでも、
その後継者様と不仲になってしまうということがリスクとなってしまいます。

やっぱり今回も、家庭サービスも仕事の一環だと思って、
ご家族と良い関係を維持することも頑張っていただければ・・
という結論になってしまいます。

中小企業が知るべき知財戦略講座

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