はじめに

小規模事業者の間で昨今人気の「小規模事業者持続化補助金」について、約10回にわたってその概要や申請のポイント・注意点などをお伝えしていきます。

第2回目の今回は、そもそも「小規模事業者持続化補助金」とは何なのかをご説明します。

小規模事業者持続化補助金ですが、毎年公募が開始されるたびに、「公募要領」というルールブックのようなものが公開されます。

この公募要領には、小規模事業者持続化補助金とは「小規模事業者が、商工会議所・商工会の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の2/3を補助」する補助金だと定義されています。

ここで、上記の定義の中で重要なキーワードを3つ挙げながら、小規模事業者持続化補助金の簡単な概要をご説明します。

☆キーワード①:「小規模事業者」

まず、この補助金は「小規模事業者」が対象となります。小規模事業者とは、端的に言えば「常時使用する従業員の数が5人以下または20人以下の事業者」です。

「常時使用する従業員」は、概ね正社員の方だと考えてください。例えばサービス業や小売業などの事業者の場合は、この「常時使用する従業員」の数が「5人以下」だと対象になりますが、製造業などの事業者の場合は、この数が「20人以下」だと対象になります。

新聞やニュースなどでよく見る補助金ですと、上場企業や大企業が対象になっている印象が強いかと思います。ただ、「小規模事業者持続化補助金」の場合は、あくまでも「小規模事業者」の方のみが対象となります。

☆キーワード②:「商工会議所・商工会の助言等を受けて」

次に、この補助金の申請をする際には、商工会議所または商工会の助言を受けることができます。このコラムをお読みになっている方も、一度は商工会議所や商工会という言葉をお聞きになったことがあるかと思います。

商工会議所や商工会は、いわば「中小企業・小規模事業者の見方」となる存在です。商工会議所や商工会では、普段から経営指導を受けたり資金繰りの相談をしたりすることができます。そして、小規模事業者持続化補助金に関しても、申請をする際にしっかりとサポートをしてくれる存在なのです。

☆キーワード③:「地道な販路開拓等に取り組む」

そして、この補助金は、まさに「地道な販路開拓」をするための補助金なのです。要するに、「今後自社の売上をコツコツと上げていくために補助金を使ってください!」というものなのです。詳しくは今後のコラムでもご説明しますが、小規模事業者持続化補助金は自社の売上アップのために正々堂々と使える補助金ですので、小規模事業者の間で年々人気が上昇しているのです。

今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金の定義から重要なキーワードを3つ挙げて、その概要を簡単にご説明しました。
次回以降のコラムでは、小規模事業者持続化補助金の具体的な中身についてご説明していきます。

小規模事業者持続化補助金の使い方

小規模事業者の間で昨今人気の「小規模事業者持続化補助金」について、約10回にわたってその概要や申請のポイント・注意点などをお伝えしていきます。

小規模事業者持続化補助金はこのために使うべし!」ということで、小規模事業者持続化補助金はぜひともこのために使っていただきたいという点についてご説明します。

小規模事業者持続化補助金は、原則最大50万円まで

小規模事業者持続化補助金で給付される最大の価格は50万円までとなっています。これは他の補助金に比べると、確かにそこまで高額ではないかと思います。ですので、例えば製造業の方が大型の機械を導入したい時などには活用できません

ただ、小規模事業者持続化補助金は金額が低めな代わりに、実はとても「使い勝手のいい」補助金なのです。

といいますのも、例えばホームページの新規制作またはリニューアルや、販促用のチラシやパンフレットの制作といった、いわゆる「広報費」に使うことができる点こそ、小規模事業者持続化補助金の「最大の魅力」と言っても過言ではないかと思います。ホームページやチラシ・パンフレットは、おそらくどの事業者にとっても必須の広告宣伝手段のはずですので。

そもそも補助金は、「ものづくり補助金」のような、機械設備等の導入のために使うことが主流でした。しかし、小規模事業者持続化補助金の登場によって、まさに小規模事業者にとっては最重要課題となるであろう「広告宣伝」を正々堂々とするための、数少ない「実に有難い補助金」を獲得するチャンスが生まれたのです。

もちろん、だからといって、ただ単に会社案内のためだけのホームページ・チラシ・パンフレットの制作ができるというわけではありません。

あくまで販路開拓のためのツール

小規模事業者持続化補助金はあくまでも小規模事業者の「販路開拓」につなげるために存在するものです。よって、広報費を計上して小規模事業者持続化補助金を受け取るためには、ホームページ・チラシ・パンフレットには、あくまでも自社の新商品・新サービスの宣伝文句を掲載する必要があります。

これまで広報費について取り上げてきましたが、もちろん他の経費でも小規模事業者持続化補助金を活用することができます。例えば、「展示会等出展費」「開発費」「委託費」「外注費」などでも計上することができます。

ホームページ・チラシ・パンフレット制作などに補助金を使うのが最もよいのではないか

ただ、これまでに弊所が小規模事業者持続化補助金の申請をサポートさせていただいた事業者の方は、その多くがホームページ・チラシ・パンフレットの制作をするべく、「広報費」を計上して申請をされてきました。広報費の計上はそこまでハードルも高くはなく、やはり「使い勝手のいい」ものになっているようです。

これから小規模事業者持続化補助金を活用してさらなる販路開拓をしていきたいとお考えの事業者の方は、まずはホームページの制作またはリニューアルや、チラシ・パンフレットの制作などをご検討されてみてはいかがでしょうか?繰り返しにはなりますが、小規模事業者持続化補助金は広報費として柔軟に活用することができますので、ぜひとも自社のさらなる販路開拓につなげていただければと思います。

厳正な審査がある

第4回目である今回は、「小規模事業者持続化補助金の獲得の前に立ちはだかる『2つの壁』」ということで、小規模事業者持続化補助金を獲得するためには必ず乗り越えなければならない「2つの壁」について書きていきます。

まず、そもそも補助金の財源は税金であり、そう簡単にもらえるものではないということは、以前も書きました。税金から補助金が支払われる以上、厳正な審査がなされるのは当然のことです。

何が審査されるのか

では、この「厳正な審査」では、いったい何が審査されるのでしょうか?

小規模事業者持続化補助金の場合、面接審査は一切なく、提出された書類のみ審査されることになります。書類審査しかないのですから、チャンスはたった一度きり、書類に重大なミスなどがあった時点で「即終了」、挽回のチャンスは一切なしということなのです。

この「書類のみの審査」の中で最も重要となる書類が、「経営計画書」と「補助事業計画書」の2つとなります。この2つの書類こそ、まさに「小規模事業者持続化補助金の獲得の前に立ちはだかる『2つの壁』」となるのです。

なぜこの2つの書類が「壁」となるのかといいますと、単刀直入に言えば「作成するには相当の時間を要するから」です。前述のように、書類審査のみで補助金の合否が判断されるため、「経営計画書」と「補助事業計画書」はどちらもサクッと簡単に作成できるものではありません。「必要事項を箇条書き程度に書いて終わり」なんて、そんな甘いことは一切ありません

小規模事業者持続化補助金の特設ウェブサイトで公開されているこれらの書類の「記入例」を見ると、なぜか要点だけ簡潔に記入されているだけなのですが、これだと正直99%採択されることはないでしょう。そもそも、書類審査のみで判断されるのに、要点だけ簡潔に書いたものだけでどうやって他の事業者と差をつけることができるのでしょうか?

簡単に作成できるものではない

これだけはぜひともおさえておいていただきたいのですが、「経営計画書」と「補助事業計画書」は短時間で簡単に作成できるものではなく、以下の点を踏まえて「心して」作成していくものなのです。
①できるだけ時間をかけてじっくり検討しながら作成する
②論理的かつ起承転結を守って作成する(小論文をイメージする)
③誰が読んでも分かりやすい文章校正にする(専門用語を使い過ぎない)
④論理矛盾や誤字脱字などは絶対にしない(大幅な減点対象になり得る)
⑤何度も見直しをしてよりよい計画書にする

これだけのことを、事業者の方が一人だけで長時間かけてこなすのは、正直厳しいと思います。そんなときは、思い切って専門家に相談ないしは依頼をしてみるのも一つの手です。書類の作成のためにたくさんの時間を取られた結果、本業が疎かになってしまっては「本末転倒」ですからね。

採択されるかが勝負

もちろん、小規模事業者持続化補助金については「採択されるかどうか」が大きな勝負となり、そのために経営計画書や補助事業計画書などの作成に全神経を集中するべきと言っても過言ではありません。ただ、苦労して計画書などを書いた結果見事に採択されたからといって、それで全てが終わりというわけではないのです。以前も書きましたが、小規模事業者持続化補助金はあくまでも「後払い」(精算払い)されるものでして、まずは採択された事業者が補助事業計画書に書いた事業計画内容を期限内に実施し、その結果を「実績報告書」などにまとめて提出する必要があります。しかも、補助対象経費の見積書や発注書、請求書、銀行振込受領書などの「証拠書類」を一つひとつ取得し、それらのコピーも提出しなければなりません。普段の商取引では見積書などは省略するという事業者も少なくないかと思いますが、補助事業を実施するにあたっては事細かく証拠書類を取得していく必要があるのです。

前提はすべて書類を揃えること

こうした実績報告書や証拠書類などが全て揃い、期限内に書類一式を提出し、補助金事務局でそれらが精査されて、特に問題がなければ最終的に補助金の額が確定します。補助金事務局での精査の段階で何か不備や不足などがある場合は、事業者に対して修正や追加書類の提出をするよう通知が来ます。また、補助事業の実施期間中にもしも補助事業計画を変更したいという場合は、変更承認申請書を提出して承認してもらう必要もあります。

けっこうな時間がかかる

以上のようなプロセスが、小規模事業者持続化補助金に採択された後に待っています。最初に補助金の申請をしてから最終的に補助金が振り込まれるまで、長ければ10か月程度かかることもあります。小規模事業者持続化補助金にチャレンジする場合は長期戦を覚悟してください。もちろん、採択決定後は期限を守って一つひとつ丁寧に準備して対応していけば、補助金が振り込まれないということはまずありません。「それなりに時間はかかるけれども丁寧な作業さえすれば大丈夫!」という意識さえあれば、何も恐れることはありません。

しょうぶ行政書士事務所
行政書士 菖蒲悠太