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系統連系②|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

単独運転の防止機能

電力会社の系統に逆潮流する発電設備では、
単独運転を防止する対策を講じられなければなりません。

単独運転とは、発電設備を連系している系統が、
事故などで系統電源(電力会社の発電設備)から切り離されている時、
太陽光発電設備や自家用発電設備などから、
電力会社の配電線・送電線に対して電力供給が行われている状態です。

電力会社が管理している系統に事故が発生した場合、
安全のために事故点を発電設備から切り離し、保守員が点検に向かいます。

ここに、需要家側の自家用発電設備から電源が供給されてきた場合、
保守員に対して感電の危険が及びます。
停電状態と思っていた事故点に対して電力を供給してしまうことで、
保守員を危険に晒す可能性が高くなります。

単独運転を防止するため
「過電圧継電器(OVR)」「不足電圧継電器(UVR)」
「過周波数継電器(OFR)」「不足周波数継電器(UFR)」
の4要素を安全装置として使用します。
これは多くがパワーコンディショナーに内蔵されています。

保守員の安全装置

  • 保護継電器の原理

単独運転状態が発生すると、発電設備の出力と必要負荷のバランスが崩れることで、
電圧や周波数が変動します。
この変動を保護継電器で検出し、単独運転状態を防止するというのが一般的な考え方です。
この保護には「OVR」「UVR」「OFR」「UFR」が用いられます。

一例として
「無効電力が均衡し、かつ負荷に供給すべき有効電力に対し発電能力が大きい」場合、
解列によって電圧上昇と周波数上昇が発生します。
これはOVRとOFRにより解列可能です。

単独運転状態になった場合、電圧や周波数に異常を生じます。
この変動を継電器によって検出し、遮断器などによって解列するのが基本的な保護方法です。

正常な運転状態から単独運転に移行した場合、
電圧や周波数が変動することを前提とした機能を有していますが、
電圧と周波数が均衡してしまい、これら保護リレーが働かないといった事態も想定されるため、この方式だけによらず、単独運転検出装置を設けることが規定されています。

あらゆる事故状態を想定し、どんな事故に対しても安全に電路を解列出来るように、
設備計画を進める必要があります。

  • 更なる単独運転の検出機能

単独運転中の系統において無効電力と有効電力が乖離していれば、
各種継電器が動作し単独運転を防止します。

しかし、無効電力・有効電力共に均衡していると、
解列によって電圧と周波数が共に変動しないことがあり、
これら継電器で保護することが不可能な場合があります。

ここで、解列点において「能動的方式」と「受動的方式」によって単独運転を検出します。

能動的方式は、系統に対して電圧や周波数の変動を与え、
単独運転が発生した際にこの変動がより大きくなることを検出する方式です。
従来は外部抵抗や制御系を用いていたのですが、検出時間が長いことや、
能動的方式を行う発電設備が多数連系している系統では、有効に検出しない恐れがありました。

新しい技術として
「ステップ注入付周波数フィードバック方式」と呼ばれる方式が開発されています。
電力系統の周波数変化率を検出し、
周波数変化を助長するよう無効電力を注入することで単独運転を検出します。

受動的方式は、単独運転発生時の特徴的な電圧位相跳躍、3次高調波電圧歪みの急増検出、
周波数変化率などを検出することでゲートブロックし、発電設備を停止させる機構です。
これらを組み合わせることで電力品質の高水準化が図られています。

電力買取用の電力量計の設置

逆潮流した電力量の数値によって電力会社との売買契約が成立するため、
計量法に基づいた検討付き電力量計の設置を行います。

電力量計は、需要家側から流れてくる逆向きの電力を計測出来るものが使用されています。
電力会社から電気を買う場合、引込点に契約用の電力量計が設置されていますが、
この部分に太陽光発電の逆潮流分を測定出来るメーターを設置します。

  • 逆電力継電器の設置

逆電力継電器は、系統連系を行っている需要家において電力会社の配電線に電力を戻さない、
つまり逆潮流をしない契約をしている場合に設置する安全装置です。
逆電力継電器は系統連系点に対して逆向き電力が発生した場合に信号を発信し、
遮断器等を動作させて発電設備を切り離します。

逆潮流を一切許容しない電路構成となるため、
発電した電力は全て構内消費することになります。
電力会社に対して、発電電力を送ることは不可能となります。

系統連系に掛かる費用負担

系統連系を電力会社の配電線と行う場合、需要家から電力会社への接続申し込みを行います。
接続の申し込みに際しては、
1地点1検討にあたり210,000円を調査料として支払います。

この調査費の振込みが完了次第、電力会社は受電側としての技術的検討を行います。
この調査料は全国一律であり、電力会社毎の違いはありません。

  • 調査における系統連系の接続可否

系統連系における接続申し込みののち、
3ヶ月以内程度で電力会社から設備可否の回答を受けます。
配電線の余力が十分であれば支障がありませんが、連系点の配電線の容量不足や距離の問題、
電力会社が連系制限を設けている系統であるなど、接続が拒否されたり、
多額の工事負担金を求められる場合があります。

電力会社の配電線に接続するために、配電線側の設備増強を伴う場合には、
発電側事業者に費用負担義務が発生します。
電力会社が工事負担金の見積もりを提示することになりますが、
その金額の算定根拠や工期の長さは、電力会社1社によるものであり、
他社比較といった仕組みが存在しないため、協議に時間を要する一因となります。

 

次回は蓄電池の有無等その他の機能を紹介します。

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