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帝国データバンクPart2 第5回 契約書の有利不利

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

帝国データバンクPart2 

第5回 契約書の有利不利

前回は、契約書の有利不利を簡単に見分ける方法としての1視点をご説明しました。
今回は、その契約書についてもう少し掘り下げようと思っております。

契約書において売買契約書などは、その権利義務の対象がはっきりしており
一般にあまり契約後に問題になることが少ない契約書です。
他方、問題が発生することが多いのは、業務委託契約書です。

たいてい、業務委託を受ける方は契約をする段階では、
なんでもやります、
あれもやってあげます
と言いますし、いろいろやってくれていい感じになると、思い込んでお願いするわけです。

ただ、これって、本当にミスマッチが起こりやすいのです。

業務委託を受ける方も、決して騙すつもりはなくても、
業務の委託を受けた後はできるだけ使う労力を少なくしたいと思ってしまうのです。
だれしも同じだと思います。

特に、先払いで全額である場合、数年契約を契約書でもらった場合などはその傾向が顕著です。

やるべきことが明確に決まっている場合はそのような事は無いのですが、
そうでない場合にはその傾向がさらに強まります。

つまり、業務委託契約において、やるべきことが明確に決まっていないと、
必ず、業務の委託者は不満をもってしまうということなのです。

そのため、業務委託契約を結ぶ場合は、細かくやってもらうことを、
契約書に決める必要があるのです。

ここを横着することや、相手が今は愛想がいいからいろいろ気を使って
やってくれると思い込んではいけないのです。
必ず、契約後は手抜きになるからです。

業務委託契約は具体的に

もし、それが難しいのであれば、契約期間を長く取ってはいけません。
月ごとに契約更新し、月払いで業務委託料を支払うというぐらいにする必要があるのです。
もし、業務委託契約の際にやるべきことを決める場合には、以下のことを決めましょう。

 

やるべきことを1から順に番号をふってリスト化する。
そして、そのリストのやるべきことの達成すべき質、量(回数)を具体的に数値で規定する。

質についてどのような基準で合格にするかについても、
難しいですが、ある程度明確に決める必要があります。

また、納期や納品方法を具体的に決める。

そのやるべきことについて、費用(経費)の負担があるならいくらまでなのか、
それに対うる費用として認める基準なども明確に決める必要があります。

達成できない場合には、契約解除になるのか、
それとも減額になるのか、無報酬になるのかなども決める必要があります。

 

正直、ここで決めていないことは、一切してもらえないと思った方がいいです。
ただ、これって本当に大変ですよね。
最初に依頼するときは、相手を気に入って頼むことが多いため、言いづらいですよね。

かくいう私も、これをおろそかにして、何度も失敗しております。
そのような時に備えて、契約期間を月単位にすることは有効だと思います。
嫌になったら、解除すればいいのですから。

ではでは、今回は、業務委託契約の危険性について記載しました。
次回は、契約書から少し離れて、外国人のビザについて書きたいと思っております。

以上

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