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帝国データバンクPart2 第6回 外国人の方の甘い罠

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

帝国データバンクPart2 

第6回 外国人の方の甘い罠

前回は、業務委託は危険な注意が必要な契約であることを書かせていただきました。
今回は、在留資格(ビザ)に関する記事を書かせていただきます。

私が外国人の在留資格の申請の際にかなりある相談の中でも
多い種類の相談は、外国人と結婚したので、
現地から配偶者(大抵の場合妻)を日本に呼びたいという相談だったりします。

この時、若い男性だったりすると、まあそういうこともあるかなぁと思うのですが、
その多くは60以上の男性で、年金での生活をされる方だったりします。

このパターンでは、出入国在留管理庁(以下、「入管」といいます。)は
かなり厳しい審査をすることが多いです。
その理由を説明させていただきます。

 

実は、日本人は狙われています。
その中でも多く狙われているというか、ターゲットになり易い(騙されやすい?)のが、
残念ながら、年配の日本人男性なのです。

女性や、若い方もそういう部分はあろうかと思いますが、やはり少数なようです。

そのように、日本人の年配の方が狙われる理由を
在留資格の面から説明させていただきます。

 

外国人が日本で働ける在留資格にはいろいろな種類がありますが、
その中で、最もその制限が緩い(制限がないといえるほど緩いです。)のが、
日本人の配偶者に与えられる在留資格なのです。

通常であれば、一定の職種でしか働けない、
ブルーカラー的な仕事ができない、
就労時間の制限がある、
風俗営業ができないなどの制限がある、

等の制限なのですが、
これらの制限が一切ないのが、この日本人の配偶者への在留資格なのです。

そのため、この在留資格はとても価値が高いのです。

 

そして、はっきり書いてしまうと、風俗営業をしたい外国人の方などは、
この在留資格があれば入管などに取り締まられる心配なく日本で風俗営業できるのです。

なお、風俗営業というのは、いわゆるキャバクラなどの店も含まれます。

その結果、日本の男性に結婚してもらって日本で働きたい
という外国人の女性はかなり存在しているようです。

そして、その在留資格だけあれば十分に稼げるという環境も日本には存在しているようです。

その結果、実際にそのような申請も入管にたくさん来ているのだと思います。

もちろん、愛がある結婚で本当に一緒に住んで、添い遂げようということもあるのでしょう。
しかし、その違いを入管がしっかりと見抜くことは大変難しいです。

一般的に、入管が偽装ではないかと疑う要件は、

男性が年配であり、女性との年齢差が大きいこと、交際期間が短いこと、
出会った場所が飲み屋などであること、
女性の日本語能力(もしくは、男性の現地の言葉の精通度)が低い、
男性の渡航の回数が少ないこと、

などがあると、偽装と思われるようです。

入国管理局が偽装結婚を疑うケース

そのため、法的に結婚していても、
奥さんである外国人にビザが出ないことがかなり多かったりします。

以上より、日本人の男性の方は、
外国で急にモテだしたからといって、簡単に結婚しても相手は、
あなたよりも在留資格に興味があるという可能性があるので、注意をしてください。

 

さらに、離婚すると基本的には日本に居られなくなるのですが、
特定の条件を満たすと、
離婚しても日本に居られる資格を与えられることがあります(定住者等)。

少なくとも、外国から全く新規に日本で就労する在留資格を得るよりは
楽に在留資格が得られます。

そのため、日本に入国したとたんに、冷たくなってしまうとかするかもしれません。

以上、ちょっと世知辛く、悲しいお話でした。
私も、結婚していますが、気を付けようと思う今日この頃です。

さてさて、私もしんみりしてしまいましたが、
気を取り直して、次回は著作権改正について記載する予定です。

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