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ブレーカーが落ちた!!|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

ブレーカーが落ちた!!①

それは朝の気温がマイナス3℃の1月8日の朝におこりました。
そしてブレーカーを上げても復旧しないという最悪事態に陥ったのです。

全室でエアコンを使い、その上トースター・電子レンジを同時に使用したため、
ブレーカーが落ちたのです。照明も付かずパニック状態になってしまいました。

ということで今回はアンペアブレーカーについてです。

アンペアブレーカーとは

アンペアブレーカーとは、家庭との電力供給契約に対し、
契約アンペア値を超える電流が流れた際に自動的に動作し、
電気の供給を停止させる機器です。

電流制限器という名称でも呼ばれており、住宅内の分電盤に設置されています。
リミッターと呼ばれることもあります。

電力会社は契約している電流値に適合した配電線や変圧器を設置しており、
契約した電力以上の電力を流すと、敷設している電線やヒューズ、
果ては変電所や発電設備まで悪影響を及ぼします。
各家庭で電流を制限することで、過負荷を防止し、適正な設備運用を行っているのです。

アンペアブレーカーは一般の配線用遮断器や漏電遮断器と違い、
電気事故を保護するための安全装置としての機能はありません。

アンペアブレーカーの二次側に漏電遮断器や配線用遮断器を設けることで、
短絡事故や漏電事故に対して保護しているのです。

電気を使いすぎた場合に、「ブレーカーが落ちる」と表現されるのは、
ほとんどがこのアンペアブレーカーの動作が原因です。
アンペアブレーカーの二次側にある「漏電遮断器」や「分岐遮断器」が落ちている場合、
漏電やタコ足配線など、別の原因が考えられるので復電の際には注意が必要です。

漏電遮断器の動作は人的被害につながるため、
専門業者による点検や修理が必要な場合があります。

契約アンペア変更による料金の違い

契約アンペアは、家庭内で使用できる電流値の上限値です。
設定した契約アンペアまでの電気を使用出来ます。
設定した数値以上の電気を使用することは出来ず、
設定値を超過するとブレーカーが落ちるようになります。

契約アンペア値は、電力会社が基本料金を決定するための項目です。
基本料金は数値が小さいほど安く、数値が大きいほど高くなるため、
同時に使用する機器が少ないのに過大な設定で契約すると、
無駄な電気料金を支払うことになります。

契約アンペアの数値が大きければ、ドライヤーや電子レンジ、IHクッキングヒーターなど、
大きな電流が流れる電気機器を多数同時に使用する事が出来ますが、
その分基本料金がかさんでしまいます。

一人暮らしであれば、契約アンペアは20Aや15Aでも十分な場合があります。
(IHクッキングヒーターや電気調理器を設置している家庭を除く)。
契約アンペアによる電気代の基本料金は、
273円/10A毎(東京電力・平成20年9月1日時点)と設定されています。

電気機器の同時使用による契約アンペアの設定

電流の大きな電気機器を同時使用し、
契約アンペア値を超過するとブレーカートリップ(ブレーカーが落ちること)が発生するため、契約アンペアの設定は慎重に行うことが必要です。

炊飯器・ドライヤー・電気ポットが同時に動作するなど、
瞬間的な過負荷が発生し契約アンペアを超過すると、アンペアブレーカーが落ちます。
日常的に10A~20Aの使用しかなくても、電気機器の使用タイミングが重なることで、
契約アンペアを超えてしまうことがしばしばあります。

前述した機器以外に、電流値の変動が激しい機器として、エアコンが挙げられます。
エアコンは外気温度や室内温度の影響を受けやすく、
室外機に内蔵しているコンプレッサーの動作による電流値が大きく変動します。

通常、電源を入れた瞬間が最も過酷な運転状況となりますが、
夏場の12~16時など、外気温度が上昇すると、
コンプレッサーは空調能力を維持するために電流を流すという特性があります。

エアコンの定格消費電力で1、000Wと表記されていても、
外気温度条件が悪くなるなどして熱交換効率が悪い場合、
1,500Wといった大きな消費電力となります。

エアコンの消費電力は、カタログでは「100~1500W」というように
幅を持たせた表記になっていることがありますが、変動特性が理由なのです。

契約アンペアの設定は、継続的に使用する機器電流値の合計ではなく、
瞬時最大で使用する電流値を想定して契約します。

一人暮らしであれば、ドライヤーと電子レンジなど、
違う部屋・違う用途で使用する機器が同時運転することは考えづらいのですが、
二人以上の世帯では、ドライヤー・電子レンジなど用途の違う機器を同時に使用します。
生活スタイルに合わせた契約設定を見極めると良いと思います。

契約アンペア設定の決め方

 

契約アンペアの変更方法と注意点

管轄する電力会社に連絡すれば契約アンペアを変更できますが、
すでに建物内に敷設されている屋内配線の能力が不足する場合は、
増強工事を伴うことがあります。

20A~30A程度の契約アンペアで使用している住宅で、
IHクッキングヒーターを導入したいからと、60Aに変更しようとしても、
建物に導入されている電線が細いため不可能という場合、増強工事が必要になります。

電力会社に対して数万円~数十万円の負担金を支払い、
契約アンペアの変更と共に引込電線の増強工事を合わせ依頼する必要があります。

マンションでは、上階や下階の住戸と同一電線を幹線として
共同利用している場合がほとんどであり、
決められた数値以上への増強が認められない場合もあります。

大きな契約アンペアの変更を伴う家電等の導入は、契約アンペアの変更が可能かも含め、
十分な検討をしてから行うようにすることをお勧めします。

ランニングコスト低減のために基本料金を下げたいと考えても、
電力会社との契約は年間契約が原則なので、春は30Aで夏は50Aで、
というような変更は出来ません。
一度アンペア値を決定したら、一年間はそのままの契約となります。

どうしても契約アンペアの設定が難しい場合、電力会社のユーザーサービスとして、
無料で契約アンペアのコンサルティングを受けられるので、
専門サービス員に必要なアンペア数を計算してもらうのも一つの方法です。

契約アンペア設定のルール

契約アンペアの「20A」や「30A」という数値は、
100Vで引き込んでいる場合の数値を表しています。

IHクッキングヒーターや大型エアコンなど、
200Vが使える契約で電気を引き込んでいる場合、実際に流れる電流値は1/2になるため、
30Aという表現をせず、3KVAという表現をします。

60Aを超える契約アンペアの場合、8KVAや10KVAといった契約になり、
電流値によるアンペア契約ではありません。
アンペアブレーカーを取り外し、主開閉器(メインブレーカー)による契約に変更になります。

主開閉器は30A、40A、50A、60A、75A、100A
といった所定の刻みで販売されているため、
契約は6KVA、8KVA、10KVA、12KVA、15KVA、20KVAとなります。
これも数値が大きいほど基本料金が高くなります。

次回は契約アンペアの想定値を計算で求める方法等を説明しましょう。

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