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緊急地震速報の非常放送での利用|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

緊急地震速報の非常放送での利用

放送設備には、緊急地震速報を取り込み、緊急放送として鳴動させる機能があります。
すでに放送設備が設置されており、主要機器の更新が困難であっても、
緊急地震速報を受信し、放送設備側へ受け渡すための専用装置もあり、
これを導入する方法も考えられます。

事務所や工場など特定の人が利用する建物防火対象物であれば、避難訓練などを十分に実施し、緊急地震速報が流れることを事前に周知しておけば、
パニックを引き起こす心配は低減されます。

不特定多数の人が利用する防火対象物では、緊急地震速報が突然自動放送されると、
パニックを引き起こすことが考えられます。
緊急地震速報は施設関係者だけに放送するなど、
無用な混乱を引き起こさない工夫が望まれます。

ここでは、緊急地震速報の仕組みなど、基礎知識について解説します。

緊急地震速報とは

緊急地震速報は、大規模な地震が発生した際に、
地震発生場所近くにある地震計によって捕捉したデータを、
電話回線や衛星への信号伝送などを利用して、
地震が到達する前に他の場所に地震到達を知らせるシステムです。

緊急地震速報による警報

身近で使用されている緊急地震速報の活用としては、
テレビやラジオに地震発生データを送信し、
テレビやラジオを視聴しているユーザーに対して緊急地震速報を行うシステムが普及しています。

地震が発生する数秒の時間内に
「心の準備をする」「あらかじめ柱や家具を押さえる」「机の下に避難する」
といった事前行動が期待出来ます。

緊急地震速報による警報は、地震発生を予測するシステムではありません。
発生した地震を、地震波の到達よりも速い方法で伝送するものです。

地震波の速度と緊急地震速報の仕組み

地震が発生した場合、P波と呼ばれる縦揺れが約7km/Sの速度で到達し、
遅れてS波という大きな横揺れが約4km/Sの速度で到達します。

この伝搬速度の差を利用し、地震の発生場所で観測された情報を、
周辺の観測所へ電波等を利用して送信することで、
地震が到達する前に知らせる仕組みが緊急地震速報です。

震源地に近い場合、信号が到達と同時であったり、ほとんど差が無いこともあるため、
直下型地震は緊急地震速報による警報には適していません。

緊急地震速報は、高速運行している電車を地震到達前に停止させたり、
稼働している工場等の生産ラインを停止させるといった安全装置にも活用されています。
地震が到達する前にシステムを自動的に停止することで、地震による被害が抑制出来ます。

電気機器の自動制御に緊急地震速報を利用するといった高度利用が進められています。
気象庁から発信される緊急地震速報は、地震発生から1分以内に、
約10回もの発信が行われます。

後に発信される地震速報ほど精度が高まるため、
情報のデータ解析によって緊急地震速報が誤報であることが判明した場合には、
緊急地震速報のキャンセル報が発信されます。

緊急地震速報の伝達と観測データ

震源地に近い地震観測所で地震が記録されると、マグニチュードや震度を即座に推測し、
基準値以上の地震と判断された場合には緊急地震速報の信号が伝送されます。
この時点では1ヶ所の観測所のデータに留まるため、信頼性はそんなに高くありません。

地震波が広がり、2箇所、3箇所と地震観測所での計測点が増えると、
多くの測定データが収集され、信頼度が向上していきます。

一般向け緊急地震速報

一般向け緊急地震速報は、2箇所以上の地震観測所で測定された地震が
「震度5弱以上」の場合に発信されます。
1箇所の地震観測所で記録されたデータは、機器の故障や、
落雷による影響による誤報の可能性があるため、
2箇所以上の地震観測所のデータでなければ発信されません。

現行で利用されている緊急地震速報では、地震の広がりが非常に大きく、
何秒以内に地震が到達するかを正確に検出出来ないため、
「何秒後に地震来る」という数値は発表されず
「まもなく地震が来る」という表現に留まっています。

一般家庭における緊急地震速報の活用

家庭で緊急地震速報を確認する方法は、テレビまたは携帯電話によって行われます。
緊急地震速報の信号を受信すると、
その数秒から数十秒後に大きな地震が来ることが予想されるため、
転倒の恐れがある家具を押さえたり、机の下に避難するといった事前対応が可能となります。

揺れによる安全装置の活用

住宅内で料理をしていた場合、緊急地震速報が流れたからといって、
慌てて火を止めに走るのは危険です。
住宅に供給されているガスは、
マイコンメーターというガスメーターに組み込まれている安全装置により、
地震検知で自動的に供給が停止されます。

慌てて火を消しに行かなくても、大きな地震が発生すれば自動的にガスの供給は停止されます。火元から離れて、避難経路を確保することに努めるべきでしょう。

マイコンメーターだけでなく、電気ストーブなどの温熱機器も同様です。
地震の揺れによって本体が倒れても、安全装置が働いて通電が停止されます。
慌てて電気ストーブに走り寄るよりも、自動で停止する安全装置に頼り、
自身は安全な場所へ避難するのが望まれます。

緊急地震速報のアラーム音

緊急地震速報を受信した場合、緊急地震速報のアラーム音が鳴動します。
これはNHKが提唱したアラーム音であり、
ほとんど全ての放送局がこの音階を採用しています。

不協和音の連続により不快感を与える音階となっており、強く気を引くのが特徴で、
緊急地震速報を館内一斉放送するような場合、
このアラームを流すことが強く推奨されています。

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