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動力制御盤の計画|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

動力制御盤の計画

主幹の省略

動力制御盤は、主幹を設置せず分岐バーから分岐遮断器に直接配線する方式が多く採用されます。主幹を設けると、盤サイズが大きくなってしまいます。現地で主幹を遮断出来る為、点検の利便性は高まりますが、キュービクルの送出開閉器で負荷遮断することでも点検可能な為、コストを削減する為に、主幹を省略することも手法の一つでしょう。

表示ランプのLED化

 動作表示や故障表示のランプは全てLED化すれば、ランプ切れによるメンテナンスを省略出来ます。白熱電球は直ぐにランプ切れを起こすので、ランプ交換が煩雑です。

動力制御盤の設置環境

 動力制御盤は用途上、動作機器の近くに設置されることが多く、室全体をチャンバーにした空調機械室内、雨に曝される屋外など、過酷な環境に配置されます。室内に気流が発生する為に、盤面の汚れが酷くなったり、盤の腐食が早まったりする可能性があります。

温度や室温が一定に保たれない為、耐久性や耐候性がより高く要求されることになる為、盤設置場所について配慮が必要でしょう。

動力制御盤の標準回路

 動力制御盤は、電動機類が多く接続されています。力率が悪い電動機を設置する場合、電動機の分岐回路毎に進相コンデンサを併設することで、力率を改善し、変圧器や幹線への負担を軽減することを考慮しましょう。

制御盤として使用し、各種制御機器が設置される場合、制御電源が個別に必要です。専用の配線用遮断器を設け、制御用の電源とすると良いでしょう。

省エネルギーの為、電動機などをインバータ回路で可変速制御する場合は、漏電遮断器の感度電流によって不要動作しないよう計画します。過負荷保護を熱動形とする、高調波の発生など、インバータの特性に注意を払いましょう。ノイズによる誤動作を嫌う設備がある場合、絶縁トランスを一次側に設置し、ノイズの影響を受けないよう対策することも、検討項目の一つでしょう。

電力制御盤の計画

動力機器の手動運転

 動力制御盤に入り切りスイッチを設け、人の手で押すことによって、負荷への電源供給行う方法で、最も単純な動作方式です。

近接運転

 電動機に近接している制御盤に設置された操作スイッチで、電動機を運転される方式です。動力制御盤の前面に赤・緑のスイッチを設け、スイッチを押下することで機器を運転させます。

遠方運転

 電動機から離れた場所に操作スイッチを設け、電動機を運転される方式です。近接運転用のスイッチを盤に設けた上で、遠方運転用のスイッチを設ける「近接-遠方」方式が一般的です。

動力機器の自動運転

 タイマー、温度センサー、湿度センサー、液面スイッチなど各種信号を受けて動作させる方式です。「汚水槽や雑排水槽の液面スイッチの信号を受けて、満水に近づいたらポンプを動作させる」という動作は、動力制御盤内に組んだ継電器の装置によって実現しています。「室内の温度が設定値よりも高くなったら、換気ファンを運転させ、温度が低くなったら、停止する」といった動作も、同様に自動で制御出来ます。

自動運転は、タイマーや液面リレーなど、定められた条件を指令として自動的に動力機器を運転させる方式であり、人の手を介さず、自動制御機器で自動的に運転出来ます。

タイマー等による制御を、中央監視設備で行う場合も、自動運転に含まれます。大規模ビルや商業施設では一般的に行われている制御で、外気温・湿度・時間など、あらゆる情報が運転条件となり、機器の自動制御が行われます。

運動運転

 給気ファンを運転させた場合、自動で排気ファンを運転させるなど、他の機器の動作から指令を受け、自動的に運転を行う制御です。外気調和機と給気ファンの連動なども連動運転の一つです。給気ファンと排気ファンを連動する場合は、給気ファンを先に立ち上げ、排気ファンは給気ファンの運転によって連動させるように制御します。

交互運転

 排水ポンプや給水ポンプに多く採用される自動運転の一つで、運転の度に、電動機の運転を交互に切り替える方式です。電動機を交互に運転させることで、機器の使用頻度を平衡出来ます。排水ポンプでは、流量が非常に大きくなった場合、緊急的に同時運転する制御を組むことが多く、これは交互同時運転と呼びます。

給水ポンプの運転は、電気設備工事側で制御を組むことは少なく、制御盤付給水ポンプに電源供給することが多くなります。給水ポンプ制御盤は故障警報の外部接点を持っている為、この信号を移報し、管理室の警報盤・中央監視装置に故障警報を出す計画とします。

電動機の故障警報

 電動機などを運転させる場合、一般的には電気設備側が制御盤を構築し、電動機に指令を送りますが、給水ポンプや油送ポンプなど、制御が複雑になる場合はポンプ側に自動制御盤を持つことがあります。電気設備側で制御を組まない場合、用意された制御盤に電源を送るだけで良かったり、故障警報だけを取りに行くなど、機械設計者との連携が重要です。

 

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