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液面制御と水位検出|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

液面制御と水位検出

 排水槽に関する制御を動力制御盤に組む場合、液面制御リレーの選定が必要です。水位検出は電極棒やフロートスイッチを使用します。水槽の種類に水位検出の方法を計画しなければ誤動作の原因となります。

水槽の種類と水位検出の方法

受水槽の水位検出

 受水槽には、飲用に適した清浄な上水が貯水されているため、電極を利用した水位検出を計画します。中水など飲用に適さない水や、消防用補給水槽などでも、フロートを使用するほど汚濁していないため、電極を用いた水位検出が可能です。

液面制御は、電極を上下に多数配置することで、減水・満水を検出します。電極に水が接触し、通電状態となった電極数で「満水」「減水」として検出し、故障警報を発信します。

湧水槽の水位検出

 湧水槽は、比較的汚れの少ない湧水の量を検出するので、電極を使用した液面制御が使用されます。しかし、電極が汚れることで誤検出となる恐れがあるため、フロートスイッチを使用する計画も考えられます。

汚水槽・雑排水槽の水位検出

 汚水槽は、汚染度が高いため電極がすぐに汚れてしまい、正常な検出が出来ません。電極は用いず、フロートスイッチを使用して水位検出を行います。

汚水槽の場合は汚水に油脂分が多く含まれているため電極が汚れやすく、トイレットペーパーの異物が電極に巻き付いてしまい、電極が正常に通電しなくなることが考えられます。

警報盤の選定

 管理室などで、故障警報を確認するための表示装置を、警報盤と呼びます。警報盤を設置することにより、遠方で発生した故障を即座に確認出来ます。

大規模な建築物では、中央監視装置を設けて故障警報を受信し、合わせてメーター類の計測・計量、機器の発停を行うのが一般的ですが、小規模な建物では中央監視装置を設けるほどのコストメリットが無く、警報盤で故障管理を行うのが合理的です。

警報盤は一点表示の簡易な製品から、30窓を超える中規模建築物にも使用できる製品まで、多くのラインナップがあります。

無電圧接点を入力として、警報ランプの点灯とブザーの鳴動を行うのが基本機能で、製品により一括警報の外部送信や、個別警報の外部送信といった機能を搭載しています。警報盤は多機能なほど単価が高いので、必要機能に応じた機種選定を行うのが良いと思います。

ランプチェック機能

 警報盤のランプが切れていないかを確認するためのボタンです。白熱電球が使用されている場合は、白熱電球がすぐに切れてしまうためランプチェックが必須ですが、近年はLEDランプが使用されているため、ランプが切れることがほとんどありません。

ランプチェック機能が不要ということはありませんが、ランプ交換の頻度が劇的に少なくなっており、メンテナンスコストは従来よりも低くなりました。

一括警報出力機能

 警報盤が受信した警報を、外部の機器に出力するための機能です。警備会社への移報に用いられることが多く、無人管理の小規模な建物では、故障警報が発生した場合に、警備会社の機器を通じて設備管理会社に伝達し、機器故障に対応するという使い方です。

個別警報出力機能

 故障信号を受ける窓数全てを、個別に外部信号として出力する機能です。複数場所で警報が必要な場合に使用します。警報盤のコストが高くなる原因となるため、必要性については十分な検討が望まれます。

停電補償機能

 警報盤は、建物が停電するなど、災害や事故時に使用する可能性が高い設備です。建物が停電している際に、故障内容が把握できないのは避けるべきであり、停電補償用の蓄電池搭載の製品を選定するのが良いでしょう。

蓄電池は3~4年の寿命であり、定期的な交換が必要です。周囲温度が高いと、2~3年で寿命となります。空調機が設けられていない機械室内に警報盤を設置すると、蓄電池の劣化が早くなるため注意を要します。

故障警報ランプの事故保持機能

 警報盤は、故障警報ランプの自己保持機能を持つものを選定します。警報盤に自己保持機能がない場合、時間経過で故障から復旧してしまった場合に、どこで何が故障していたのか不明になり、対策を検討することが困難です。警報盤を計画する場合、保持機能のある警報盤を選定することが望まれます。

故障警報が時間とともに復旧してしまう代表水槽の満水・減水警報があります。排水ポンプの能力が追いつかずに満水となっていたり、一時的に受水槽の水がなくなってしまった場合、時間とともに故障から復旧してしまい、機器の能力不足に気が付かない、という不具合につながります。

故障警報信号線を動力配線と並列敷設しない

 弱電線を強電線と並列で敷設すると、誘導により弱電線に電圧が発生します。24Vの低い電圧で動作する警報信号は、誘導によって発生する電圧で動作してしまうことがあり、故障でないのにランプが点灯するなど、不具合の原因となります。

警報信号線を延長しすぎない

 故障警報の配線も、電力ケーブルと同様に、敷設距離に応じて電圧降下を引き起こすので、超長距離を敷設すると、警報信号が電圧降下で電圧を失い、警報盤が信号を受信出来ないことがあります。1.25mmのケーブル径、敷設距離200m程度を上限と指定している警報盤メーカーもあるので、この敷設距離以内を原則として計画するのが望まれます。

保証対象外の施工方法でありますが、ケーブル径を大きくすれば、インピーダンスが小さくなり電圧降下を低く抑えられるため、伝送距離を伸ばせる可能性があります。1.6mmや2.0mmのケーブルを利用することも一案です。ですが、メーカー保証は受けられません。

 

今回の掲載をもって最後となります。長い間のご拝読、ありがとうございました。

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