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首里城炎上2:消防設備について|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

首里城炎上2:消防設備について

建物に設置する消防設備について規制を行う消防法は、非常に難しいものです。

なぜなら建物の利用形態が多様化し、その変化に伴う設備の高度化、
社会的に影響のある火災を踏まえた消防法の改正、などが頻繫にあり、
消防設備に関する規則は、高度化・専門化しています。
そのため一般の人間にとっては非常に分かりにくいものとなっています。

と、言っている自分も消防設備は分かりにくいな… と思っています。
自分が管理していた建物の消防設備はなんとなく分かりますが、
管理したことのない建物の消防設備はなかなか怪しいものです。

消防設備について

首里城正殿の外に「放水銃」と呼ばれる消火設備が設置されていたようです。
その5基のうち1基を、2013年12月までに国が撤去していたことが分かりました。

専門家はスプリンクラーなどの消火設備の不足が
大規模な延焼につながったと指摘しており、
安全管理の見通しの甘さが改めて浮き彫りになったようです。

火災発生時、正殿の軒下に設置されていた「ドレンチャー」という
外からの火を防ぐ消火設備のみが作動し、放水銃4基は
火災による熱で近づけなかったため、使用できなかったことも明らかになりました。

そもそも「ドレンチャー」設備とは、文化財構造物を
周囲の火災から延焼を防止するために設置されるもので、
隣接する建造物火災などから飛来する火の粉を、放水された水で消火させ、
構造物自体を冷却しながら、水滴により輻射熱を反射・吸収、低減することにより
延焼を防止するだけの設備なのです。

ですから消防設備というわけではありません。
ドレンチャーは延焼防止設備

消防署の査察

平成13年9月1日、新宿歌舞伎町で44人もの犠牲者を出した
ビル火災を記憶している人も多いかとも思います。

その年、私はビルメンテナンス課に配属されました。

11月・12月は消防署の査察が多く、それも事業所に抜き打ちで行われることが多かった!!
(それは、事前に通知すると、それなりの準備ができてしまうため)
事業所としては “なんで今日?!” ということになります。

“嫌がらせだ!” とも思えるのでありました。

11月・12月は商品量も多く、バックルームはもちろんのこと、
避難通路、ひどい時は避難階段まで商品で溢れかえっている時期です。

消防署の査察の立ち合いは、新人の仕事と決まっていました。
私は無線片手に査察官の指摘事項に“オロオロ”しながら返答し、
営業課へ指摘事項を連絡しなければなりませんでした。

査察官は事前に提出された「消防計画書」を基に、
不備箇所を“あら探し”(本当にそう見える!)をしていきます。
不備箇所が見つかった場合には、事業所の責任者の顛末書の提出、
並びに再度の消防計画書の提出が必要になります。

そんなことになったらもう大変!
自分の責任でもないのに事業所の責任者に“こっぴどく”しかられることになります。

バックルームの商品が、所定の位置にあっても、
スプリンクラー・ヘッドから水平距離で30㎝、下方距離45㎝以上
離れていなければならないと、メジャーで細かくチェックされます。

文化財保護法では重要文化財にスプリンクラーの設置義務があるのです。
首里城の場合、世界遺産になっているのは地下の遺跡部分だけであったため
上に立っていた建物には文化財としての保護が遅れてしまったという側面があったようです。

スプリンクラーが設置されていなかったのはなぜか?
消防設備のメンテナンスは...?
それを問題視すべきだと思います。

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