甲乙丙丁を使用すべきでないもう一つの理由
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
甲乙丙丁を使用すべきでないもう一つの理由
以前のコラムで甲乙を使うとどちらが甲だったのかわからなくなるので使わない方が良いという話がありました。
確かに私自身も契約書を作成していると、どっちが甲で、どっちが乙なのかわからなくなったりすることが多々あります。
但し、そのような問題を解決するのであれば、wordの置換を利用して最後に甲と乙に置き換えれば解決できますし、私が売買契約書などを作成する場合には、売主甲、買主乙など一読して分かるように表示しています。
今回はその問題点とは異なった視点から使わない方が良い理由を説明させていただきます。
例えば、売買契約であれば買主甲、売主乙と表示したことでどちらが売主だったかどうかの間違いはだいぶ減らせると思いますが、契約主体が3者以上になった場合、甲乙だけでなく丙丁まで使用するような契約書は避けるべきと考えます。
この理由として、3点あります。
1 契約関係を複雑にする
➡義務や権利があいまいになり、問題が起きたときに責任のなすりつけ合いになりやすい。
2 契約内容を整理すれば、単純な2通以上の契約書になる
➡売買契約であればどちらかの下請け的業務を担うだけであり、独立した当事者とする必要はない
➡顧客紹介契約など第三者が必要となる契約であっても、紹介された第三者とは別途売買契約などを締結すればよく、あえて紹介契約で丙などと記載して契約当事者とする必要がない
3 当事者が増えれば、利害が対立する
➡契約はお互いの合意できる内容を探すことです。
契約当事者が増えれば増えるほど利害の対立が増えるため、合意できるような内容での契約はできなくなります。
そのため、多数当事者で合意できた契約は具体的に拘束力がある契約にならないケースが多い。
あくまで法務担当者として私が実務に携わってきた経験からの意見ですが、弊社の弁護士などにも話を聞いた限り同意見とのことでした。
私も契約書を作る際、どうしても1通ですべての条件を入れてしまいたくなります。
しかし、契約書はあくまで相手方との取引のスタートに過ぎません。
その後裁判にまでなってしまったケースを振り返ると契約締結時に安易に判断してしまったかもしれないと思われることがあります。
皆様には私のこのような経験を避けるうえでも弁護士や行政書士などの専門家に相談されることをお勧めいたします。
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