うちの商品だけを扱って! 排他的条件付取引(独占禁止法)

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

うちの商品だけを扱って!排他的条件付取引(独占禁止法)

どんな時に問題になるの?(ケース設定)

弊社が取り扱っている商品を新規に取り扱っていただくことになった販売店様と
新たに売買契約書を締結することになりました。

そこで、担当者に売買条件などの聞き取りをしたところ、担当者より

「今回の販売店は過去当社の競業にある他社商品を扱うことで販売を伸ばした実績があるのです。今回の売買契約では、契約書であらかじめ
競業他社の新たな商品を取り扱うことができないようにすれば
その分当社の販売数を伸ばすことができるので、
そのような条文を入れてくれないか」

との打診がありましたので、
今回は独占禁止法における排他条件付取引について少しお話をさせて頂きます。

排他条件付取引って何?

まず、排他条件付取引とは、独占禁止法自体に定められた行為ではなく、
公正取引委員会が独占禁止法2条9項6号に基づき指定した不公正な取引方法の1つで、
一般指定11項と呼ばれています。

排他条件付取引)

不当に、相手方が競争者と取引しないことを条件として当該相手方と取引し、
競争者の取引の機会を減少させるおそれがあること。

条文を読んでいただければわかると思うのですが、単に競業他社(競争者)と取引をさせないことを条件とするだけでは原則として違法になりません。
あくまで競業他社(競争者)との取引を制限することで、競業他社(競争者)の取引の機会を減少させ、結果的に競業他社(競争者)を市場から排除するおそれのある場合に,排他条件付取引として違法になります。

独占禁止法の条文に戻ってみましょう

 独占禁止法は、第1条で

「この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事
業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による
生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、
公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、
以て、一般消費者の利益を確保するとともに、
国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」

と定めています。

長いので要約すると!

ざっくり言うと、一部の力のある事業者(大企業)がその力(価格交渉力など)を利用して自らに有利になる取引を行うことが、
まわりまわって一般消費者の不利益(通常より高価な価格でしか商品が流通しないことで消費者が結果的に損をすることなど)になるので、
法律でこれを禁止するけど、あくまで公平競争・自由競争の範囲内で生じる不公平については問題にしないということになります。

例えば(デジタルの世界では?)

例えば、2021年2月1日に施行された

特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律

という法律があります。

これは、デジタルプラットフォームにおける一方的な利用規約の変更や
取引拒絶の理由が示されないなど
取引の透明性が担保されていないことを理由に、

デジタルプラットフォーマーからの情報提供を図るための様々な措置が法律を根拠として定められました。

結論

このように、法律はあくまで自由競争を前提とした市場を想定していますが、
その競争が公平かつ適正でないと判断された場合には、

法律により制限を加えることで公平性などを担保しようということになります。

そのため、前述のような取引の制限についても相手方が同意をするのであれば、
排他条件付取引に該当しない限り契約条項に入れることは可能です。

但し、たとえ排他的条件取引に該当しないとしてもあまり一方的な条件を付けるのは、
継続して取引をする相手からすれば公平とは思えないため、
長く良好な関係を続けるためには避けたほうが良いかと思います。

なお、独禁法を所管する公正取引委員会では、独禁法及び下請法に関する相談を受け付けておりますので、
迷われた方は一度相談することをお勧めします。

違反?公正取引委員会へ相談を

「契約において最も大事なこと2その契約書公平ですか?」はこちら

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サルでもわかる契約!まとめ:契約書の教科書(契約書チェック・作成)

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©行政書士 植村総合事務所 代表行政書士 植村貴昭

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