覚書を作ってください!-契約書の表題と法的効果について
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
覚書を作ってください!-契約書の表題と法的効果について
覚書ってなに?
先日、営業部の方から
「現在の売買契約書の条件を変えるので覚書が欲しい」
との要望がありました。
そこで私が
「どのような覚書ですか?」
と質問したところ、
「だから簡単な覚書でいいです」
という回答をいただきました。
実はそんな契約形式はない!
どうも本人は「覚書」という法律形態の契約があると思い込んでいたようで
このようなよくわからない会話がなされることになりました。
しかし、私としても今まで覚書という表題の意味について
深く考えことがなかったことから、
今回はコラムの題材にさせていただきたいと思います。
契約の書式などは自由
まず法律のルールとしては、
契約書のタイトルをどのように記載しようが決まりはありません。
なぜなら契約書のタイトルとは、
あくまで契約する内容がどのようなことがらに関するものかを
わかりやすく説明しているだけだからです。
そのため、契約書のタイトルに
どのような名前を付けたとしても法的効果には
何ら影響を与えないため自由につけることができます。
例えば、契約書の内容が売買契約であったとしても、
表題を消費貸借契約とすることも可能ですし
それによって契約の内容である売買契約が無効になるわけではありません。
ちょっと歴史をさかのぼる
そもそも法律用語辞典によれば、
覚書とは、第2次大戦後マッカーサーが日本の占領管理に関して発した指令の形式の一つ
とされており、何ら法律的意味を有していると定義されていません。
ではなぜ覚書が追加契約などの際の表題に使われることになったのでしょうか?
調べてみたのですが、明確に記載されている文献を見つけることができませんでした。
そのため、ここからは私個人の推測となりますが、
どうも備忘録的使われ方をしていた覚書が
そのまま法律の世界では契約書に追加する方法
として使用されるようになったのではないでしょうか?
どなたか詳細についてご存じの方がいらっしゃればご教授いただければ幸いです。
表題は完全に自由?
さて、話を本題に戻しますが、
表題に法的効果がないのであれば、
どのような表題をつけても良いというわけにはなりません。
確かに法的効果は生じませんが、契約書を読むとき、
たいていの方は、表題から読むことで
当該契約書がどのような契約書か無意識に推測したうえで読まれるものと思われます。
そのため、契約書の内容と異なる表題や覚書のような一読して
どのような意味で当該契約書が締結されたか推測できないような表題は
つけるべきではないと考えています。
適当なことをすると後からトラブルに
特にいい加減な表題をつけた担当者が、移動や退社などにより
担当ではなくなった場合にはトラブルのもとになりかねません。
覚書などの追加条件についても、本契約の作成を依頼した先生などに作成依頼をすることで、
本契約との関連性も含めて記録していただけます。
ご面倒でも、事後的なトラブルを避ける意味でも
行政書士などの専門家に依頼をすることをお勧めいたします。
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