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領収書やレシートの管理に関する考え方
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
領収書やレシートの管理に関する考え方
第1回 税務の観点からの取り扱い①
事業主の方から、
領収書やレシートの受け取りや保管について質問されることが多くあります。
内容としては次のような質問なのですが、
これらの疑問について本稿では4回に分けてじっくりと説明していきたいと思います。
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- 領収書やレシートは保管しておかないといけないのか
- 領収書の宛名は空欄のままではいけないのか
- 領収書ではなくレシートでも良いのか
- 領収書の裏に誰と行ったかなど、使途をいちいち書いておかないといけないのか
なお、これらの質問はどのような立場、前提条件から考えるかで
結論が変わってしまいますので注意が必要です。
事業主の方とお話しをしたり、また種々のwebサイトにある説明を見ると、
かなりこの前提条件を混乱しているように思います。
そのため、本稿では、その前提条件を分けて説明をした上で、
最後にそれらをまとめて、事業主の皆さんがどうすべきかをご説明いていくことにします。
税務の観点からの取り扱い
税務の観点から考えると、
領収書やレシートは経費の支払い事実の証拠資料ということになります。
租税理論上は実際に経費の支払があったという事実を、
例えば経営者の口頭で確認出来さえすれば問題がないのです。
所得税や法人税は申告納税制度であるため、
事業主が支払ったことさえ忘れなければ、理論上は問題がありません。
しかし、経費を計上すれば、その分利益が減少し、納税額も減少しますので、
税務署等の課税権者によって税務調査が行われる際には、
経費計上の根拠たる証拠の提示が求められることがあります。
そのため、この税務調査時の経費計上の根拠提示に備えて、
事業者自らが自らの身を税務署等から守るための意識的な努力が必要となります。
この意識的な努力が、上述した事業主の方が疑問に思う①~④の項目に該当しているのです。
まず①の保管についてですが、
すでに説明したように、税務調査が行われる場合、
経費の「支払い事実」を証明できる証拠が必要となりますので、
当然保管が必要ということになります。
税務調査は7年間遡って行うことが可能ですので、保管も当然7年は必要となります。
次回以降に法的な保管根拠や年数についても解説していきますが、
何故そのように法で定められているのかが理解出来ていないと、
頭の中に定着せず実務で使えるようになりませんので、
しっかりと法の定めの根拠について理解しておきましょう。
次回は、税務の観点からの取り扱い②として、この続きから解説していきます。
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©税理士 栗原先生