改正民法と代理

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有
               

改正民法と代理

代理とは、本人以外の人が、本人のためにすることを示して相手方に意思表示を行い、その効果を本人に帰属させることをいいます。

例えば、不動産の売買契約を締結するに当たり、売主から売買の代理権を与えられた人が、売主の代理人であると名乗ったうえで買主と売買契約を締結する場合です。
代理は、日常的に利用される制度ですから、これに関する改正の内容を正確に理解しておく必要があります。

旧民法と改正民法の違い

1 代理人の行為能力に関する見直し

旧民法では、制限行為能力者の代理行為は行為能力の制限の規定によって取り消すことができないとされていました(旧民法102条)。
改正民法においても、上記の取り扱いは原則として引き継がれていますが、例外的に、制限行為能力者が「他の制限行為能力者」の法定代理人としてした行為については、取り消すことが可能とされました(改正民法102条但書)。

2 自己契約・双方代理の効果の明文化

自己契約とは、自分が当事者の一方となる法律行為について、その法律行為の相手方の代理人なることいいます。双方代理とは、当事者双方の代理人となって法律行為を行うことをいいます。

自己契約・双方代理は、事実上代理人が1人で契約することになってしまい、本人(当事者の一方)の利益が不当に害されるおそれがあることから、旧民法下でも規定がおかれていました。しかし、その効果については無効なのか無権代理なのかをめぐり争いがありました。
そこで、改正民法では、両者の効果は無権代理である旨が明文で規定されました(改正民法108条1項、2項)。

双方代理は無権代理です

3 表見代理の規定の明文化

本当は代理人ではない者が代理人のフリをして相手方に意思表示を行い、相手方がその者を代理人と信じて契約を締結等した場合に成立するのが表見代理です。

日常的に様々な場面で「委任状」が用いられていますが、他人が勝手に「委任状」を作成し、その委任状を相手方に見せたうえで契約を締結する場面が、表見代理の典型例です。
民法の改正により、表見代理が成立する3つのパターンの要件が明文化されました。

①代理権授与の表示による表見代理→改正民法109条
②権限外の行為の表見代理→改正民法110条
③代理権消滅後の表見代理→改正民法112条

まとめ

代理に関する民法の規定が変更されたため、しっかりとした知識のもとに代理行為を行わないと、予想より重い責任を負ってしまったり、契約が本人に帰属しなかったりという不測の事態を招いてしまいます。
契約書や委任状の文面にも細心の注意を払いましょう。

不安がある場合は、専門家に相談することを推奨します。

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