技能実習生に対するコロナ特例

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた
技能実習生への特例

新型コロナウイルスの影響が依然として大きい中、2020年8月31日付けで、
法務省から、技能実習を修了される方で
今後も日本で働きたい外国人を対象としたビザに関する特例が発表されました。
この記事では、本特例措置の概要や申請に必要な書類を解説します。

本特例措置の概要

まず、本特例措置で申請できる在留資格は「特定活動」で、
在留期間4カ月、就労可能となるものです。

本特例措置の対象となる方は技能実習2号を修了される方で、
特定技能1号で引き続き日本で就労したいがコロナの影響で準備が整っていないという方。

つまり、コロナ禍のため技能検定の受験ができなかった。
または、試験が延期されて受験できなかった方になります。

なお、技能実習3号を修了される方も対象になりますが、
技能実習1号を修了される方は対象に含まれません。
本来、技能実習1号を修了しただけでは特定技能1号への変更は認められないからでしょう。
ですからこの方たちは、特定技能分野別試験を受ける必要があります。

既に特定技能1号への移行準備が整っている方は、
特例措置を使うことなく通常通りに特定技能1号への変更申請が可能です。

注意が必要なのは、本特例措置が利用できる場面は
従前と同一の企業及び業務で就労を希望する場合に限られる
ということです。

技能実習を修了し、特定技能で就労したいが移行準備が整っておらず
今すぐには特定技能1号への変更申請ができない場合の、いわば延命措置といえます。

コロナ特例措置と技能実習生

特例措置を利用して「特定活動」への変更が許可されれば、
その企業でこれまで同様の業務にて就労することができるため、
外国人は収入を得ることができます。
もっとも、在留期間は4カ月と短いため、この間に移行準備を整える必要があります。

必要書類

本特例措置の申請の際の必要書類は以下になります。通常の変更申請より簡素化されています。

①在留資格変更許可申請書
②新型コロナウイルス感染症の影響により在留資格「特定技能1号」への移行に時間を要することについての理由書
③受入れ機関が作成した誓約書(受入れ予定の外国人が「特定技能1号」への在留資格変更許可申請予定であること等についての誓約書)
④「特定技能1号」に変更するまでの間の雇用契約に関する書面(雇用契約書,雇用条件書等の写し)

いずれも法務省HPに様式があります。

資料

本特例措置は技能実習を修了する方を対象に、特定技能1号への移行準備期間をとるための制度です。
引き続き日本で就労したい技能実習生や、技能実習生を今後も雇用したい事業主はこの制度を利用してみてはいかかでしょうか。

新型コロナウィルスの感染拡大を受けた技能実習生の在留申請についての特例
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