新型コロナウイルスの影響により就労が困難となった外国人への雇用支援
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
新型コロナウイルスの影響により就労が困難となった外国人と人手不足が深刻な事業者のための支援制度
新型コロナウイルスの影響により、外国人労働者や事業者に大きな損害を被っています。
就労先を解雇されたり、技能実習が困難となった外国人に対し、
日本での雇用を維持するため、特定産業分野への就職の支援が行われています。
また、職を失った外国人労働者が新たな就労先を見つけることができるだけでなく、
技能実習生等が来日できずに、人手確保が困難となっている農業や介護等の分野に
職を失った外国人が再就職できるものであるため、事業主にとっても有意義な支援制度です。
対象者
① 新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され、
実習や就労が継続困難となった技能実習生、特定技能外国人等。
② 新型コロナウイルス感染症の影響により内定を取り消された留学生。
以上は代表的な対象者ですが、これら以外にも支援制度を活用できる可能性があります。
※ポイント
技能実習生や特定技能外国人は、本来であれば同業種でなければ転職ができません。
しかし、この支援制度(以下「本特例措置」)は特例として異業種への転職を認めています。
この点が、本特例措置の重要なポイントです。
外国人への再就職の支援という面のみならず、
異業種の技能実習生や特定技能外国人等の受入が可能となるため、
事業主(受入機関)にとっても人出不足解消に役立つ制度です。
付与される在留資格
本特例措置を利用すると、「特定活動(就労可)」の在留資格が与えられることとなります。
在留期間は、最大1年です。
なお技能実習生が申請するこの資格には、雇用支援と特定技能準備2パターンがあるようです。
利用開始時期
令和2年4月20日~
行うことができる活動
受入機関において特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付ける活動
要 件
① 申請人(外国人)について
・申請人が本特例措置により従事しようとする業務に係る報酬の額が,
日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること
・申請人が,受入れ機関において特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付 けることを
希望していること(希望する特定産業分野に係る技能試験等の合格 が必要な者に限る)。
製造業3分野(素形材産業分野,産業機械製造業分野,電気・電子情報関連産業分野)
については、国内において,申請人が製造業各分野で対象と なっている業務区分(職種)で
勤務・実習中に解雇されたものに限られる。
② 受け入れ機関(事業者)について
・申請人が特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付ける希望があることを理解した上で、
申請人の雇用を希望するものであること
・申請人を適正に受け入れることが見込まれること
(在留外国人(就労資格に限られず,資格外活動許可を受けた者も含む。)を雇用した実績
出入国・労働関係法令の遵守等)。
・申請人に対して特定技能に移行するために必要な技能等を身に付けることなどについて
指導、助言等を行い、在留中の日常生活 等に係る支援
(関係行政機関の相談先を案内及び必要に応じて当該機関に同行 することを含む。)を行う
担当者を確保して適切に行うことが見込まれること 。
※(注)支援について
例えば、受入れ機関が雇用する申請人が従前に所属していた監理団体や、
特定技能へ移行する際に支援を委託する予定の登録支援機関 において
実施することも差し支えない。
・申請人を受け入れることが困難となった場合には、地方出入国 在留管理局に
速やかに報告すること。
必要書類
申請する外国人の現在の状況により異なりますが、代表的なものを挙げます。
① 在留資格変更許可申請書
② 帰国が困難であることの合理的理由を説明する文書
③ 受入機関が作成した誓約書や証明書
新型コロナウイルスが猛威をふるう中、日本での外国人労働者や、
人出不足が深刻な受入機関にも大きな影響が出ています。
詳しくは出入国管理庁のホームページ
新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等に対する雇用支援
をご覧ください。
本特例措置を利用することで、外国人労働者と受入機関双方が恩恵を受けられると思われます。
とはいえ、手続は複雑ですので、行政書士へ相談することを推奨いたします。
特定技能の制度説明はこちらをご覧ください