永住許可(永住権、永住者ビザ)の取消(取り消し):5つのケース・虚偽申請・出国・犯罪・不更新・転居届

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

永住許可(永住権、永住者ビザ)の取消(取り消し):5つのケース・虚偽申請・出国・犯罪・不更新・転居届

5つのケース

  • 永住許可を受けるための申請内容に虚偽
  • 再入国許可を受けずに出国(みなし再入国許可を除く)
  • 懲役刑などを受けた
  • 在留カードの更新手続をしていない
  • 居住地登録(転居の届け出)をしていない

はじめに

永住許可は永久に住んでもよいという許可ではあります。
しかし、無条件ではありません。問題なければという条件があるのです。

そして、問題があれば、取消ができることになっております。

永住許可の取消
その場合について、以下、説明していきたいと思います。

虚偽申告による永住許可取得

永住許可を出すか否かは、出入国在留管理庁の入国審査官によって、
かなり厳密な審査がなされます。

その審査の内容は多岐にわたり、年金の納付状況等の審査、就労状況、経済状況なども当然に審査されます。

その書類に虚偽(嘘・偽造等)があって本来なら永住許可されないような場合に、
許可された場合には、取り消されてしまいます。

刑罰の対象

もちろん、意図的にこのような虚偽の申請をすることは、違法で、刑罰の対象になります。

これらの刑罰については、書類の取次をした行政書士も無縁ではありません。
虚偽申請をしたとして、行政書士が逮捕されることも珍しくないのです。

しかも、この永住許可はいったん出たら、その後審査されることはありません。
更新は、審査なく更新されてしまいます。

そのため、一回、虚偽の内容で許可を得てしまうと、永久にその内容で永住許可が出続けることになります。
そうすると、いつまでも、虚偽申請の事実は残り続けるということになり、
言い方は悪いですが、時効が無いのです。

再入国許可を得ずに出国

再入国許可

在留許可は、基本的に入国するたびに取る必要があります。
つまり、たった一日でも、出国してしまうと、在留許可が失効することが原則になります。

ただ、それだと、毎度毎度、新しい在留申請をして取り直すというのは、大変面倒ですし、
在留許可申請認定証明書を取得し、査証の発給を受けるとなると、数カ月も戻れないことになってしまいます。

その為、一時的に出国する場合は、再入国許可を得て出国します。そうすると、一度、出国しても再度の在留資格の取得は必要ありません。

それでも良さそうなのですが、現在、人の出入りは大変多くなっており、
月に何度も出入国を繰り返す必要がある仕事の方もいます。

みなし再入国許可

それはあまりにも大変だということで、
みなし再入国許可という制度があります。

このみなし再入国許可とは、出国から1年以内に日本に戻ってくるのであれば、
再入国許可を得ていなくても、与えたと「みなして」再入国を認めるというものです。
(ただし、難民等の一定の在留資格の場合、みなし再入国許可の制度はないので注意が必要です。
また、たとえ、1年以内であっても、その前に在留期間が切れてしまうと同じくダメです。)

再入国許可を得ない出国

そのように、永住権があっても、再入国許可を得ず、又は、みなし再入庫再入国許可の期間を超えてしまうと、
これまた、永住権の取り消し事由になります。

再入国許可を得ない出国

永住許可を得た外国人の場合、ほとんど日本人と同じになったと思っているので、
1年を超えて帰国しないということが比較的あり得ます。
同じように、日本人とほとんど同じと思っていますので、再入国許可を取らないとならないということ自体を知らない方も多いのではないでしょうか。

そのような、勘違いを加速させるものとして、みなし再入国許可があります。
なまじ、過去、再入国許可を得ずに、自国に帰国や海外旅行をした経験があることから、
今回も大丈夫だろうと思ってしまうのです。

また、永住許可を得るまでは、
在留許可の更新、永住許可の取得の条件として、長期間日本を離れないことなどがありますし、
許可自体はもらえても、長期間、日本にいなかったことは必ず不利な事情ですから、
注意して日本にいた方も多いのだと思います。

そんな中、永住許可を得てしまうと油断してしまうのかもしれません。

そんな理由で、永住許可の取り消しで最もよくあるのが、この再入国許可を得ずに出国して1年を超えてしまった。
ということになります。

懲役刑などを受けた

1年以上の懲役刑(執行猶予を除く)場合等には、強制退去されることになります。
その結果、永住許可が取り消されてしまします。

上記犯罪には、不法就労幇助罪等(有罪判決・逮捕は不要)が含まれます。

薬物違反で有罪判決を受けた場合(執行猶予があってもダメ)

売春に直接関係のある業務に従事した場合(有罪判決・逮捕は不要)

在留カードの更新をしなかった

永住許可(永住権、永住者ビザ)の更新申請(更新「許可」申請ではない)

のように、永住許可といえども更新手続きが必要です。
これを怠ると、永住許可が取り消される可能性があります。

住所の届け出

中長期の在留許可を有する外国人は住所の届け出が必要です。
届け出自体は、最寄りの市役所等で可能です。

この届出を怠ると、これまた永住許可の取り消し事由になります。

年金について

現在のところ、生活保護をもらっていることや、
年金等の社会保険を支払っていないことは、
永住許可の取り消し事由にはなっておりません。

しかし、

永住許可申請(永住権、永住ビザ)1:生活保護との関係性についても最新情報も!

にも記載したように、今後、取り消し事由になっていく可能性が高く、
注意が必要です。

関連ページ

永住申請3 技術・人文知識・国際業務(技人国)から永住許可(永住権、永住者ビザ)への変更

法務省の永住許可申請の必要書類等

永住許可(永住権、永住者ビザ)の更新申請(更新「許可」申請ではない)

 

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