離婚定住者ビザ・死別定住者ビザ
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
日本人または永住者と離婚・死別した場合のビザについて
離婚・死別により婚姻関係が解消した場合、現在持っている配偶者ビザの該当性が失われるため、そのままは日本に在留することはできません。
婚姻関係解消後14日以内に配偶者に関する届出を行い、その後、ビザの変更申請を行う必要があります。
そして、多くの場合は、定住者ビザへの変更を行うことになります。
この記事では、離婚・死別後の定住者ビザへの変更申請について解説します。
離婚した場合
まず、離婚の場合ですが、定住者ビザが許可されるための実務上の要件として、次のいずれにも該当する者である必要があります。
これら要件の多くは審査要領に記載されています。
①日本において、おおむね3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められるもの
通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。
別居期間があったとしても、夫婦としての交流が継続して認められれば①を満たします。
付与されていた在留期間が「1年」であっても許可される可能性があります。
また、夫婦の間にお子様がいて、外国人配偶者が親権者となった場合は、定住者ビザが許可される可能性が高まります。
②生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
離婚後、安定して日本で生活していけるだけの収入や資力が求められます。
1ヶ月当たり20万円が目安です。配偶者ビザで保有している外国人が婚姻中に日本で就労していた場合、引き続き就労が可能です。
他方、就労していない場合(専業主婦、専業主夫)は、直ちに就職活動を開始、就労先を見つけましょう。
雇用契約書等を提出し、生活しているだけの収入があることを証明する必要があります。
③日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
申請書の記載や面接において、意思疎通がとれるレベルであれば問題ありません。日本語能力試験に合格していることも要求されません。
④公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
法令違反の有無や納税義務の履行状況が問われます。これらに違反があると、在留状況が不良であると判断され、許可されにくくなります。
⑤身元保証人
申請人の日本での在留状況や滞在費支弁を保証する身元保証人を探す必要があります。
身元保証人は、基本的に誰でもなれますが、定職に就いている人に保証人になってもらった方が、許可されやすくなります。
友人や職場の同僚に保証人になってもらうケースが多いです。
⑥離婚の経緯
離婚定住の場合、離婚の経緯を理由書にて説明する必要があります。離婚にいたった理由、これまでの在留状況、離婚後の生活状況等を具体的に記載し、申請人の日本における定着性を入管にアピールしましょう。
配偶者からDVを受けていたといった事実があれば許可の可能性が高まりますが、虚偽の記載は許されません。
なお、配偶者が日本人、永住者、特別永住者でなく「定住者」であっても許可される可能性がありますが、可能性はとても低いです。
死別した場合
配偶者が死亡した場合の実務上の許可要件は、離婚した場合とほぼ同じです。
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- ①配偶者の死亡まで直前のおおむね3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められるもの
- ②生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- ③日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
- ④公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
- ⑤身元保証人
- ⑥理由
死別の場合も、配偶者が日本人や永住者ではなく「定住者」の場合は許可の可能性が低いです。
必要書類
案件に応じて提出書類が異なります。申請人に応じて適切な資料選別・書類作成が求められます。以下は必須書類です。
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- ・在留資格変更許可申請書
- ・証明写真
- ・旅券
- ・在留カード
- ・離婚届の受理証明書(離婚の場合)
- ・死亡届出受理証明書(死別の場合)
- ・申請人の(前)配偶者の戸籍謄本
- ・申請人の住民票
- ・預金通帳の写し
- ・身元保証書
- ・理由書(嘆願書)
許可された・許可されなかった事例
「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例
まとめ
この記事では、配偶者と離婚・死別した場合のビザの手続きについて解説しました。離婚後も引き続き日本で生活していきたいと考える外国人の方は多いです。確実に許可を得るためにも、専門家へ相談することを推奨します。弊所料金表はこちら
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