コラム(各種情報)

第41回 英語ってツールに過ぎません。英語学習の弊害

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

英語ってツールに過ぎません 英語学習の弊害

植村のコラム 41

はじめに

前回は、トヨタがハイブリットに関する特許を開放した
ということについて解説させていただきました。

今回は英語について私が思うところを記載したいと思います。

国際特許と英語

英語はどうしても使わなければならない

私は英語が苦手です。

大学受験もしましたが、英単語は、
①難関レベル、②普通大学レベル、③短大レベル3つ英単語集がある中の、
③の短大レベルの英語を何とか覚えて、
最低点で通過した人間だったりしています。

そんな私ですが、現在、英語で外国の特許事務所等とやり取りしています。
特許・商標等の仕事はどうしても英語でやり取りしないと、ならない仕事なのです。

国際的に特許・商標を取りたいというクライアントがいるからです。

そのため、多少必死で英語を勉強しましたが、やはり苦手であることは変わりません。
そこで、分かったことを書かせていただきたいと思います。

ポイント1 日本語で考えるな!

まず、日本語で文章を考えて、英語に翻訳しようと思わないことです。

正直、我々が使う日本語は、責任を回避しようとしたり、
相手に察してもらうことを前提としたり、謙遜が入ったりしていて、
とてもあいまいです。

そのため、日本語で考えたものを英語に訳そうとすると、
とても難しい表現を使わなければなりません。

しかも、そのような英語は、
たとえネイティブであってもうまく伝わるかわかりません。

さらに、私たちが伝える相手はアジアの国々の人であることも多いので、
正直、相手が英語得意とは限りません。

ポイント2 あいまいな表現は避けよう

そのため、あいまいな表現を避けて端的に伝える必要があります。

その際には、こちらで判断・決断をして、
相手に、してほしいこと、してほしくないこと等の内容を、
しっかりと伝える必要があります。

ポイント3 難しい文法は必要ない

次に、 長くて、複雑な文章は、
相手にこちらの意図を理解させるために使う英語としては適切ではないです。

(もちろん、前述したように、日本語の文章の場合には意図自体が、
書いている人にもない、もしくは決めていないという
そもそもの問題があることが多いです。)

私が思うに、日本では、
一定の文法や文例などを学校で教え、それを使って
1つの文で表すという練習しかしてこなかったのが問題なのだと思います。

英語はあくまで、意思伝達の手段なので、
難しい文法や単語を使っても意味がありません。

英語が下手でも相手に伝わる簡単な文法、単語を使う方が正しいのです。
長い文章は、それだけで理解のミスマッチを呼びます。

具体例

ちょっと具体的な例を挙げてみたいと思います。

例えば、日本語では以下のような文章を書いたりします。

「先日ご提案いただいた件について、弊社内で検討させていただきましたが、
 私はよいと思っていたのですが、現在の弊社内の状況では
 難しいということになってしまいました。」

いろいろ配慮した結果の文章なのでしょうが、
日本人ですと、この文章を読めば、
価格の条件などを変えても、よほど安くするなどしなければ無理、
との明確な意思表示であると感じると思います。

しかし、正直これを英語にするというとかなりの英語力が必要です。
正直伝わるとも思えません。
相手に、いつなら会社の状況が変わるのかと聞かれる可能性があります。

その場合、前述のように何を伝えるのか考えなければならないのです。

上の文章は、たとえば日本語で以下のように書くことも可能です。
できるだけ、短い文章にして、文を4つに分けています。

「私はあなたに残念なお知らせをしなければなりません。
 私はあなたの先日の提案について上司と議論しました。
 しかし、合意できないと決定しました。
 ごめんなさい。」

4つの文章に区切って、できるだけ短い文章にしています。
このぐらいの日本語なら英語に訳せそうではないですか?

自動翻訳機に入れてもほぼ間違いなく翻訳してくれると思います。
また、論理関係も比較的わかりやすくないでしょうか。

最後に 

正直、この程度の内容で、いつも外国とやり取りをしている英語下手な私でした。

たぶん、英語が得意な方だったら、
こんなこと考えずにすらすら訳せるのだとおもいますが、私には限界です。

さてさて、今回はあまりにも弁理士とは異なることを書いてしまいました。

少し反省して、次は、弁理士本来のお話をさせていただこうと思います。
いわゆる、世界特許というものについてお話させていただく予定です。

 以上

特許庁のHPはこちら

© 弁理士 植村総合事務所 所長弁理士 植村貴昭