コラム(各種情報)
太陽光発電の特許は
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植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
太陽光発電は、太陽光を、太陽電池を用いて直接的に電力に変換する発電方式であり、環境に優
しく、持続可能なエネルギー源として注目されています。主な特徴は、燃料を必要とせず、発
電時に二酸化炭素を排出しないこと、メンテナンスが容易であること、そして資源が枯渇する
心配がないことです。このような状況から、太陽光発電は、多数の特許出願が行われているジャ
ンルとなっております。かつて日本が強かった太陽光発電の特許は現在、中国勢が圧倒的な状態と
なっております。太陽光発電の特許出願は、ペロブスカイト太陽電池に代表されるような太陽電池
自体の構造や素材に関するものが多数を占めてやります。しかしながら、太陽光発電の特許出願
は、競合が激しく、防衛出願も多いため、特許査定に至る確率は高くないといえます。この中で特
許査定の例として、特許第7610887号の浮遊式太陽光発電装置および浮遊式太陽光発電シス
テムがあります。
特許第7610887号公報には、空中に浮上することが可能な浮遊部と、前記浮遊部に取付け
られる太陽電池モジュールと、前記浮遊部と接続され前記浮遊部と地面との距離を調整するロープ
状の調整部材とを備え、前記浮遊部は、内部に空気よりも軽い気体を封入することによって浮かぶ
複数のバルーンを含み、前記複数のバルーンの各々は、平面部を有する形状であり、前記複数のバ
ルーンは、前記平面部同士が格子状に敷き詰められて配置されることによって、鉛直方向に交差す
る方向に広がる第1面が形成され、前記第1面に前記太陽電池モジュールが配置され、前記複数の
バルーンの各々は、四角錐形状であり、前記平面部は、四角錐の底面である、浮遊式太陽光発電装
置が記載されております。
要約すると、特許第7610887号の浮遊式太陽光発電装置は、空中に浮上することが可能な
複数のバルーンに複数の太陽電池を取り付け、複数のバルーンと距離を調整するロープ状の調整部
材により地面との距離を調整するものであり、装置を移動して組立て、解体することが容易となっ
ております。日本では、設置できる場所が限られること、天候に左右されることなど、様々な理由
で太陽光発電の普及が進んでいないとされていまが、特許第7610887号の浮遊式太陽光発
電装置により、このような問題の解決が期待できます。
このような太陽電池の配置に関する発明は、特許出願のダークホースといえ、ビジネスチャンス
の獲得に期待できるものと思われます。
この機会に自慢の太陽光発電の特許出願に挑戦してみてはいかがではしょうか。
以上