意匠の要部とは(基本的構成態様と具体的構成態様との違い):意匠の基本
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
意匠の要部とは(基本的構成態様と具体的構成態様との違い)
意匠の要部について説明しております。
似たような概念として、
基本的構成態様と具体的構成態様とがありますが
それらについてはこのページをご参照ください。
意匠の要部がなぜ重要か?
意匠の要部は、
拒絶理由通知を受けた場合や、
侵害訴訟において重要な概念になります。
さらに具体的には、
要部といわれる部分が一致する場合には、
比較対象となる2つの意匠は類似になるということになります。
つまり
① 拒絶理由通知においては
先行意匠と出願している意匠とは類似になるため
登録を受けられないということになります。
② 侵害訴訟においては
意匠権の意匠と、侵害品とは類似になるため
意匠権と類似の侵害品を販売等していることになります。
③ 無効審判においては
先行意匠と登録している意匠とは類似になるため
登録している意匠権は無効になってしまいます。
※ 以上においては、さらに細かい例外などがありますが、基本に上記のようになります。
以上のような結果、要部が実務上とても大事であることになります。
要部はどのように決まるのか?
要部は、固定された概念ではないです。
需要者の注意を惹く部分
を要部と認定するのです。
(意匠法的には創作法なので、本来的には、
デザイナーさんが創作能力を発揮した部分なのでしょうが、
それは、多分に主観的なので、客観的な指標として、
上記のような、需要者の注意を惹く部分になります)
このように書くと、
意匠ごとに明確に要部がもともとあるように思うかもしれませんが
実際には、明確ではないです。
この要部の認定をするために、
過去の先行する意匠(特許庁に登録されているもの、されていないもの)を、
具体的構成態様と基本的構成態様との各要素について、
どこまで新規なのか等(容易に創作できるのかも含まれます。)
を判断したり、
その物品ごとの取引状況等を加味して、
最終的には、審査官、審判官、裁判官が認定することになります。
要部の誘導
要部の認定は、前述のように、登録の有無、侵害の有無、無効の有無を決定する要素なので、
こちら側が有利になるように、うまく誘導し、説得する必要があります。
この辺りは、まさに代理人(弁理士、弁護士)の腕に関わる要素になろうかと思います。
弁理士会の実用新案権の説明はこちら
©弁理士 植村総合事務所 所長弁理士 植村貴昭