相続手続きと遺産分割協議書|行政書士ってどんなお仕事?
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
第2回:相続手続と行政書士 遺産分割協議書編
日本にはたくさんの「士業(サムライ業)」がありますが、
行政書士の専門はいったい何でしょうか?
「行政書士ってどんなお仕事?」のコラムでは、
10回にわたって、その専門性をお伝えしていきます。
さて、第2回目の今回のテーマは、「相続手続と行政書士 遺産分割協議書編」です。
前回の「遺言書」と今回の「遺産分割協議書」という
2つの「書」が「相続」の手続において大変重要です。
復習になりますが、「相続」は「まず遺言書」があるかないかの確認から始めます。
ですから「遺言書」があればそのとおりに手続は進んでいきます(※1)。
しかし、「遺言書」が無かった場合には、あなたやご兄弟等が集まって、
各々の「取り分」を話し合いで決めることとなります。
もし、争いが起きてしまったときは裁判にもつれる可能性もあるでしょう。
相続人となる人は誰ですか?-相続人の確定
まず、はっきりさせなければならないのは、
誰が遺産を相続するか、ということです。
亡くなった方の配偶者(夫・妻)は必ず相続人
(亡くなった人の遺産を分け合う人)となります。
また、亡くなった方の子も相続人となります。
子がいなかった場合には、
亡くなった方(「被相続人」といいます。)の両親が相続人となります。
両親がすでに亡くなっていれば、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
このように、相続人になれる順位は民法上決まっており、3つのレベルに分かれています。
さらに、民法には、どのように遺産を分けるかの目安として
「法定相続分」というものも定めています。
⓪ 被相続人の配偶者:配偶者は必ず相続人になります。
① 被相続人の子:〈配偶者〉と〈子どもたち〉で2分の1
② 被相続人の両親等:〈子〉がいない場合。
〈配偶者〉3分の2,〈両親〉3分の1
③ 被相続人の兄弟姉妹:〈子〉も〈両親等直系尊属〉がいない場合。
〈配偶者〉4分の3,〈兄弟姉妹〉4分の1
つまり、① 子が相続人となったら、
② 被相続人の両親と③ 被相続人の兄弟姉妹は相続人になれません。
この「法定相続分」は、相続人各々の権利ですから、遺産分割協議が丸く収まり、
これとは別の分割方法をしたとしても、それは有効です。
相続の対象となる財産はどれくらいですか?-相続財産の確定
被相続人の財産は死亡時から「相続人全員の共有状態」となります。
そのため、誰が相続人なのかを明確にさせる必要が出てきます。
相続人が全員揃ったところで、遺産分割の協議に入っていきます。
しかし、そもそも、どれくらいの「相続財産」があるのでしょうか。
遺言書やエンディングノートをヒントに、相続財産の調査をしていきましょう。
悩ましいのは、相続税との関係で問題となる不動産の評価額です。
これに関しては、評価が一通りではなく、評価方法(スキル)によって、
税金の対象となる額に差が出てきてしまうのです。
相続税申告の経験がある税理士等に相談をすることをおすすめいたします。
なお、弊所では、連携をとって、相続財産の確定を行なっていますので安心です。
遺産はどのように分割しますか?-遺産分割協議書
相続人と相続財産の範囲が確定したら、
いよいよ、それをどのように分割するかを話し合うことになります。
繰り返しになりますが、民法には、「法定相続分」という規定があり、
話し合いがこじれた場合には、
原則として法律で定められた割合で分割するよう促しています。
もちろん、話し合いがまとまり、相続人全員が、遺産の分割について合意をした場合は、
そのとおりに遺産分割手続きが進むことになります。
しかし、不動産等を「分割」するわけにはいきませんから、
それを金銭に換価して分割できる形にするとか、
あるいは、不動産は分割せず、相続人のうち一人にすべて与えて、
残りの財産を各人納得のいくように分ける等、分割にも色々なケースがあります。
争いにはならずとも、前に進まないというときには
お気軽にご相談いただければと思います。
(※1) 多くの場合「遺言書」には「遺言執行者」が定められており、
同人が、「遺言書」の内容を達成するために行動していくことになります。
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