「ゲームバー」は違法なの?|行政書士ってどんなお仕事?
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
第4回:著作権と行政書士 「ゲームバー」は違法なの?
日本にはたくさんの「士業(サムライ業)」がありますが、
行政書士の専門はいったい何でしょうか?
「行政書士ってどんなお仕事?」のコラムでは、
10回にわたって、その専門性をお伝えしていきます。
さて、第4回目の今回のテーマは、「著作権」です。
前回の「建設業許可と行政書士」では、「許認可と言ったら行政書士!」
とお伝えしましたが、
「著作権」についても、行政書士は取り扱うことが多いですので、
すこしホットな「ゲームバー」のお話をしようと思います。
ゲームバーは著作権違反?
ゲームバーってご存知でしょうか。
その名のとおり、ゲームのできるバーで、人生ゲームなどのボードゲームから、
任天堂やソニーのコンシューマー向けゲーム機・オンラインゲームのできるパソコンが
置いてあって、お酒を飲みながら、わいわいできる場所です。
利用料金は飲食付き1時間1500円程度だったとか。
そんなゲームバーですが、今年に入ってはじめて、
とある店舗が摘発されてしまいました。
いったい何がいけないのでしょうか?
みなさんの直感ではいかがでしょうか?
「やっぱり、ゲーム機やソフトが売れなくなっちゃうのがマズイんじゃない?」
そのとおり!
ゲーム機やソフトが売れることによる収益を、
ゲーム会社が得られなくなってしまったら、とんでもない財産的打撃ですよね。
法律的にはどうでしょう。
今回の事件で問題となったのは、「上映権の侵害」(著作権法22条の2)です。
「上映」といえば、映画なのでは?
と思った方もいらっしゃると思いますが、
実は、PlayStationやNintendo Switchなどの「ビデオゲーム」は、
法律解釈上、「映画の著作物」に該当するとされています。
それでは著作権のひとつである「上映権」とはどのような権利なのでしょうか。
著作権・上映権ってなんだろう?
まず「著作権」とは、一言でいえば「著作物」を独占できる権利です。
「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、
文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1号)をいいます。
映画も、この「著作物」にあたります。
また、「著作物」を創作したら、その人は「著作権者」になるのです。
「上映権」とは簡単に言ってしまえば、
「映画などの著作物をスクリーンなどに投射して誰かに見せるための権利」です。
ゲーム会社の許可なしでの経営がマズかった!
そして、今回の事件では、店舗側が、「著作権者」であるゲーム会社の許可を得ないで、
ビデオゲームを「上映」してしまったがために、
「著作権:上映権」の侵害ということで摘発されてしまったのです。
逆に言えば、ゲーム会社の許可を得ていれば、
ゲームバーも合法的に運営できるということになりますが、
果たして、現在日本全国にある「ゲームバー」で、
許可を得ている店舗はどれくらいあるのでしょうか・・・。
著作権は、非常に奥が深い分野ですので、後日、複数回のコラムとして掲載する予定です。
なお、ポラリスIPグループ代表は、弁理士ですので、
著作権以外の知的財産権に関するご相談もお受けできます。
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