クーリングオフ 基礎知識編 3:悪徳商法対策
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
契約があればその通り守らなければならない
それがこの社会です。
では、なぜ守られなければならないのでしょうか。
考えてみると不思議です。
憲法にもそのようなことは書かれていませんし、
私人間の間での関係を規定している民法にも規定がありません。
実は、契約(=約束)を守らなければならないとは、
どこにも明確には書かれていないのです。
契約を守らなければならない理由
では、なぜ守らなければならないのでしょうか?
もし、約束が守らなくても良い社会となれば、どうなってしまうでしょうか。
容易にわかることですが、
今の社会は全て崩壊し、力のみが支配する社会になってしまうでしょう。
約束を反故にできるのであれば、反故にされないために、
力ある者は暴力等の手段で相手を脅したりして、約束を守らせようとするからです。
もっと悪ければ、社会というものが崩壊して、人は他人を全く信じず、
家族単位でだけで住んだり交易したりし、原始時代以下の状況に戻ってしまうでしょう。
私たちの社会は、約束を守ると約束したものだけが集まって社会を形成し
その社会で生まれ、その中で利益を得て成長したのだから、
自分自身は、たとえ直接約束してなくても、この約束を守る!
という考えなのです。
このような考え方を社会契約説といいます。
よく、人殺しをしてはならないといわれた時、なぜだめなのかと問われたら、
この社会契約説では役と苦を守るという約束と同じように、
同じ約束をした相手を殺さないという約束もしたのです。
と答えるとよいと思います。
といったわけで、この社会では、約束は守らなければならないというのが原則です。
そのため、契約書に1兆円とかかれていたら、そのとおり守らなければなりません。
こんなことがあれば、一生台無しですね。
(もちろん、実は、いくつかの方法がありますが・・・。
その方法とは、たとえば、自己破産、共通錯誤、詐欺、合意と異なるなどです。)
あとは、気を付けなければならないのは、
例えば「1▢ 円」のスペースの部分に、
「億」を後から書き加えられる可能性はないのかなどです。
このような問題が生じないように、2通作って、各自保管しておく必要があるのです。
捨印について
皆さん、「捨印」って知っていますか。
契約書の誤記などや、後から少し修正するための方法です。
契約書の右上に印鑑を押しておいて、修正していくというものです。
これは、契約書を一から作り直すのではなく、修正で対応しようというものですが、
実際に修正の時ではなく、そういう事態に備えて
あらかじめ押してくださいということがあります。
これって、とても怖いことですよね。
この捨印という方法は、昔は、手書きが基本だったので、たった数字の為に
再度契約書を作り直すという手間が大変すぎるということでなされていた方法です。
しかし、今は、パソコン内に保存されているのですから、
そこだけ修正して再度契約をし直せばいいのです。
(なお、本当は、捨印にも修正できる限界があります。)
以上のように基本的に、
もし契約書があれば、そこに書かれている内容がどんなに理不尽であっても、
まもらなければならないのです。
そのため、会社の契約書を作る場合は、
それほど恐ろしいことをしているのだと思ってやらなければならないのです。
もしかしたら、その契約書によって会社がつぶれてしまうかもしれないのです。
なお、ここまで記載してきたように、各種の規定や、判例法、
ここに記載がある消費者契約法によって、ある程度救済される余地はあります。
同じように、皆さんも、いろいろな場面で個人的にも契約を結ぶ場合があろうかと思います。
家、保険、車、習い事等々があります。
契約書を読まずに捺印 ⇒ ✖
契約書を提示されて読まずにハンコを押すことがあってはならないのです。
そこに、皆さんを破産させるような、致命的な問題がある可能性があるのです。
契約って、こわいなぁ~
ということを理解いただければいいなぁと思っております。
契約書って必ず必要?
ところで、急にちょっとだけ話は脱線してしまいますが、
相手が誠実な人であれば、契約書などは必要ありません。
誠実な人であれば、何としても守ろうとしてくれるはずだからです。
約束がなくても、何とかして皆さんの為に動いてくれるはずです。
そして、そんな人が一生懸命努力しても、
履行(=その約束を果たす)できないような場合は、
たとえ契約書があってもどうにもならないからです。
(この辺は、クーリングオフ 基礎知識編 4でお話しします。)
また、契約書は、そもそも関係がおかしくなった時に生きるものですので、
今関係が良好だから不要、とかそういうものではないです。
関係がおかしくなって、相手が不誠実になったときに生きるものなのです。
消費者庁の商取引法のページはこちら
©行政書士 植村総合事務所 所長行政書士 植村貴明