改正民法と法定利率
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
改正民法と法定利率
法定利率とは、法律で定められている利率をいいます。これに対し、当事者間で取り決められた利率を約定利率といいます。
民法の改正により、法定利率に関する見直しが行われました。法定利率は利率の約定のない契約や逸失利益などの損害賠償の額を定める際の中間利息控除の場面で適用されます。
法定利率については、明治期における民法・商法の制定以来見直しがされておらず、旧民法の法定利率は市中金利を大きく上回る状況にあったというのが、法定利率が見直された経緯です。
旧民法と改正民法の違い
旧民法における法定利率は、年5%(年5分)です(旧民法404条)。
商行為によって生じた債権については、年6%(年6分)とされていました(旧商法514条)。
これに対し、民法の改正により法定利率は下記のように変更されました。
■年3%から開始
■「3年」を「1期」として、「1期」ごとに利率が変動する。変動のルールは、短期貸付けの平均金利の合計を60で除して計算した割合(0.1%未満切捨)を「基準割合」とし、直近変動期の基準割合と当期の基準割合との差(1%未満切捨)を、直近変動期における法定利率に加減するというもの
■商事法定利率(旧商法514条)の廃止
以上のように、法定利率が3%へと引き下げられ、その後は3年毎の緩やかな変動制が適用されることとなります。
また、商事法定利率が廃止されため、商行為によって生じた債権含め上記の改正民法のルールが適用されることになります。
まとめ
民法の改正により、法定利率のルールが大きく変更されました。
とくに、商事法定利率の廃止により、商行為によって生じた債権の法定利率は6%から3%へと低下が著しいです。
法定利率の低下により思わぬ損害を被らないよう、準備をしておきましょう。
約定利率を決め、契約書に明記しておくのがよいでしょう。
不安がある方は、専門家への相談を推奨します。
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