改正民法と消費貸借・使用貸借

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有
               

改正民法と消費貸借・使用貸借

消費貸借契約とは、金銭その他の代替物を借りて、後にこれと同種・同等・同量の物を返還する契約をいいます。例えば、借金がこれに当たります(金銭消費貸借契約)。

使用貸借とは、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了してときにこれを返還することを約する契約をいいます。

両者とも日常的に頻繁に利用されていますので、民法の改正によりどのような変更がされたかを理解しておくことはとても重要です。

旧民法と改正民法の違い

消費貸借について

1 要物性の緩和

旧民法では、貸主と借主が合意しても、実際に物(ex金銭)が交付されるまで契約は成立しない(要物契約)とされていました(旧民法587条)。しかし、これには弊害があります。

住宅ローンを組んだ場面を想像してみてください。借主(住宅を購入した人)は資金が必要だから住宅ローンを組んだにも関わらず、物の授受が無いため、貸主に対し“金銭を交付せよ”と請求できないのです。
判例上、合意のみで成立する諾成的消費貸借が認められていましたが、区別があいまいでした。

そこで、書面(契約書など)によることを要件として、合意のみで消費貸借が成立することが定められました(改正民法587条の2第1項)。この場合、借主は、貸主から物を受け取るまでは契約を解除でき、解除された貸主は解除によって受けた損害の賠償を請求できます(改正民法587条の2第2項)。

改正民法の書面による合意

2 借主の期限前弁済と損害賠償に関する規定の追加

借主は、返還時期の有無にかかわらず、いつでも借りた物を返還することができます(改正民法591条2項)。

しかし、返還の時期の約束がある場合、貸主としてはその時期に返還されるものと考えるのが通常ですから、借主がその時期の前に返還したことによって貸主が損害を被った場合、貸主は借主に対しその損害の賠償を請求することができます(改正民法591条3項)。

使用貸借について

1 諾成契約へ変更

旧民法では、使用貸借も要物契約とされていました(旧民法593条)。

民法の改正により、使用貸借は書面の有無にかかわらず、当事者の合意のみで成立するとされました(改正民法593条)。
これに対応して、貸主は、借主が物を受け取るまでは契約の解除ができるとされました(改正民法593条の2第1項)。もっとも、使用貸借が書面によっていた場合は除きます(同項ただし書)。

2 契約終了時の収去義務と原状回復義務

借主は、契約終了時には借りた物に付属させた物を収去する義務があることが明文で定められ(改正民法599条1項)、借主の帰責事由ある損傷がある場合は原状に復する義務があります(同条3項)。

契約書の作成方法

書面による消費貸借契約は物の引渡しがなくとも成立しますから、書面を作成する意義は大きいです。書面には契約書以外にも借用書などが考えられます。

いずれにせよ、誰が誰に対し何を貸して、いつまでに返済しなければならないのかといったことを具体的に記載する必要があります。また、消費貸借は無利息が原則(改正民法589条1項)ですから、利息をとりたい貸主は、利息を付する旨を書面に明記しましょう。

消費貸借の契約書について詳しく知りたい方はこちら

まとめ

この記事では、消費貸借と使用貸借に関する改正民法の概要と契約書の作成方法を解説しました。日常的によく使用される契約形態ですから、民法の改正をきちんと理解し、不測の損害を被らないよう備えましょう。
不安に感じる方は専門家への相談を推奨します。

その他改正民法のポイントはこちら
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