契約書って必要?-ある知財部員からのアドバイス
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
契約書って必要?-ある知財部員からのアドバイス
化粧品を製造販売する中小企業で法務を担当しています。
売り上げが○〇憶円規模のため、法務部はなく総務部での一課として日々仕事をしています。
今回、当社の顧問弁理士である植村先生より、
「士業としての視点ではなく、企業の担当者からの目線で契約について話をして欲しい」
とのご依頼を受けましたので、私が現場で経験してきた事例を踏まえて、
契約についてよくわからない方に簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
そもそも契約とは
【契約】とは、簡単に言えば当事者同士の約束であり、
私たちは日々の生活の中で1日何回も意識をせずにしている法律行為です。
法律行為というと難しく感じますね。
例えば、電車に乗ることも鉄道会社が目的の駅まで運ぶ代わりに運賃を請求する運送契約です。
また、コンビニで物を買う行為も売買契約という法律行為になります。
これらの行為をする際には、誰も契約書を締結することはないため、
会社で新たに取引をする際に契約書の話を担当者にすると
「契約書を作らないとまずいですか?」とよく言われます。
確かに、民法第555条に
「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、
相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」
と定めております。
早い話、「契約書を作らなくても売買契約は成立する」ということです。
また弁護士や行政書士に契約書の製作を依頼した場合には、
ある程度の高額な費用がかかりますし、
契約書の条文を作るために聞き取りなどの時間も必要となります。
契約書を作成しなくてもトラブルにならないケースが多々ある一方、
契約書を作成したとしても絶対に紛争が生じないわけでもありません。
確かに、コンビニなどで目的とは違う商品を買ってしまったとしても
その場で店員さんに間違えたと言えば商品を交換してくれる場合もあるため
契約書を作るという必要がないとも思えます。
そうであれば、貴重なお金と時間を使ってまで契約書を作る必要はないと思いますし、
私もそう考えている時期がありました。
しかし、会社が企業活動の一環として契約をする場合には少額ではない金額が発生します。
例えば、化粧品を一つ作る場合でも、初回発注は何千個からであり、
「担当者が勘違いしていました」の一言で、発注をなかったことにすることはできません。
製造を中止した場合には「やっぱりいりません」で終わることはできません。
反対の立場であれば「ふざけんな!」となります。
そこでこのような間違えを防止することから、
契約書不要論の担当者には、
「これまでの交渉に勘違いや思い違いがないかどうかの確認をするために必要です」
と説明しています。
また、契約書を作成することで、どのような交渉をしたのか後から確認することもできるため、
少々面倒ですがが、ぜひ契約書という文字で記録を残しておくことをお勧めします。
契約書関連ページ
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サルでもわかる契約!まとめ:契約書の教科書(契約書チェック・作成)
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