難民認定申請の手続き・現状・定義等(6ヵ月、4ヵ月の変更)
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
難民認定申請の手続き・現状・定義等(6ヵ月、4ヵ月の変更)
特定技のへの変更申請も検討
特定技能への変更も検討ください。
その理由も説明させていただきます。
特定技能への変更が必ず認められるとは限りませんが、
日本に長くいるためには、今一番可能性があるビザです。
詳細は下記のページを参照ください。
難民から特定技能への変更申請も検討:難民ビザでは特段の事情がない限りいつか帰国させられることになります
「難民」とは
入管法における「難民」とは、人種、宗教、国籍、特定の社会集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者をいいます。
難民認定申請は、外国人がこの難民の地位に該当するかどうかを審査し決定する手続です。
(難民認定申請に関する入管のページはこちら)
「難民」認定を受けた場合に得られる保護
法務大臣から「難民」であると認定されると、難民の地位に関する条約(難民条約)に規定する難民としての保護を受けることができます。日本においては、以下3点が挙げられます。
①難民条約に定める各種の権利の保障
難民認定を受けた外国人は、国民年金、児童扶養手当、福祉手当などの受給資格が得られることとなり、日本国民と同じ待遇を受けることができます。
②永住許可要件の一部緩和
永住許可の要件は、大きく分け
(1)素行が善良であること
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
の2つですが、難民認定を受けると、
(2)の要件を満たさない場合でも、永住許可を得られる場合があります。
③難民旅行証明書の交付
難民認定を受けると、難民旅行証明書の交付を受けることができます。
これを所持する外人は、有効期限内であれば、何度でも日本から出国し、入国することができます。
必要書類
難民認定申請に必要な書類は以下になります。
もっとも、難民であることを証明する資料は、自分が迫害を受けたこと等の事情を具体的に証明するために膨大な量になることがほとんどです。
-
- 難民認定申請書
- 申請者の写真
- 申請者が難民であることを証明する資料
難民認定申請の現状
近年、難民認定申請を行う外国人の数は増加の一途をたどっています(平成26年=5,000人→平成29年=19,629人。3年間で約4倍)。
では、実際に難民と認定された外国人がどれくらい存在するのかというと、平成29年では、申請者約2万人のうち65人しかおりません。
難民認定された人々の国籍は、アフガニスタン、エチオピア、エリトリア、バングラデシュなど、現実に難民が多い地域です。
このように、認定される可能性が低いにも関わらず難民認定者数が増加しているのには理由があります。
難民申請を行うと、審査結果が出るまで長い時間を要し、結果が出るまでの間は、生活のために働くことが認められており、仮に難民と認定されなくても「審査請求」という手続きを行えば、平均で2年半ほど働き続けることができるからです。
“とりあえず難民認定申請をしておけば日本で働ける”という風潮が広まってしまったのです。
この事態を重く見た入国管理局は、2018年1月15日、“難民に明らかに該当しない申請者は、難民認定手続中であっても、日本での在留も就労も許可されない”との運用を開始しています。そのため、現在(令和2年)では、これまでのような、その場しのぎ的な難民認定申請をしても直ちに不許可となってしまうでしょう。
難民認定申請が不許可になった場合の対応
①再び難民認定申請を行う
現在の難民認定の実務からすると、①の方法で許可される可能性はとても低いです。
しかも上記の通り2018年から運用が変更されているため、明らかに難民に該当しないと判断されればすぐに不許可とされてしまいます。
よほどきちんとした理由を用意できない限り、①をとることは現実的ではありません。
②他の在留資格への変更許可申請を行う
難民認定申請中であっても、他の在留資格への変更が可能です。
よく見られるケースは「日本人の配偶者等」への変更です。
在留資格変更許可申請を行う場合、まずは、ご自身のこれまでの難民認定申請の状況を確認しましょう。
とくに、難民認定申請を何回行っているかという点は重要です。
繰り返し申請していて、国が難民認定申請に対し不許可としたにも関わらず、再申請をしている場合は要注意です。
単に日本に在留したいがために、その場しのぎ的に難民認定申請を行っていたのであれば当然、変更申請が許可されることは難しくなります。
申請中の状況
従来の運用
難民認定がされる可能性は低いので、申請中の状況を説明します。
難民の申請すると6月間就労ができない期間があり、
その後、以前であれば、就労が許可されていました。
しかし、乱用的な申請が増えたことから、2018年から、
この制度は廃止されました。
現在の運用
変わって、
難民申請後2カ月以内に申請者を、
1)難民の可能性が高い人、
2)明らかに難民に該当しない人、
3)再申請を繰り返している人、
4)その他
──に分類する。
1)には速やかに就労を許可する一方、
2)や3)については就労不可として、在留期限終了後に新たな在留資格を付与しない。
に変わりました。
申請中の在留資格
申請中は、「特定活動」との在留資格になります。
基本的に、就労の制限がない(風俗業は認めらていませんが、時間制限はありません)
在留資格になります。
この内容は、在留カードではなくパスポートに「指定書」という形で紙がホチキスでつけられます。
在留期限は「6月」が基本です。
在留期間が6月及びそれ未満になった場合
前述のように、難民申請中の特定活動の期間は6月です。
しかし、場合によっては「3月」「4月」となる場合があります。
この場合、大変にまずい状態です。
入管としては、今回、更新してあげるけど、次は更新しないよとの意思表示の可能性が高いです。(もちろん、事情などによっては、更新される可能性があります)
その場合、何らかの対応をすぐにすべきです。
在留資格がなくなって、30日以内に退去するように求めて来る可能性が高いからです。
ここで、頑張って、在留資格がなくなるまでという方法もありますが、
そこまで行ってしまうと、出入国在留管理庁としては、
いったんその方に「×」をつけたことになりますので、
後述する対応案2の在留資格認定証明書交付請求の成功率が大幅に下がることと思われます。
対応案1(在留資格の申請)
他の在留資格への変更をするか、帰国の準備をすべきです。
他の在留資格への変更は、じつはかなり難しいです。
一般に、出入国在留管理庁は、難民から他の在留資格への変更は認めていません。
(ただし、日本人の配偶者などへは、人道的観点から比較的容易に変更を認めていると思います。)
変更できない場合であっても、
ここでの活動は完全に無駄になるかというと、そうではないです。
具体的には、対応案2の帰国をした場合に、再度の来日をする際の「在留資格認定証明書交付申請」をする際に、
受け入れ企業があるとか、日本国内に会社を持っていて現在も営業中とか
の事情があると、交付を受けやすくなります。
対応案2(いったん帰国)
いったん帰国するのも有効な手です。
なぜなら、この場合に、自発的にいったん帰国すれば、
特段のペナルティがないからです。
逆に、強制送還されたとかの事情があると、法律的に入国できない期間もありますし、
その期間を超えても、在留資格が与えられる可能性は大変低いからです。
そして、対応案1をしていれば、すぐに、在留資格認定証明書交付請求をして、
今度は堂々と入国すればいいのです。
みなし再入国許可
再入国許可を得ずに、再入国することが技術・人文知識・国際業務などの普通の在留資格の場合可能です。
しかし、難民申請中の方は、それができません。
その為、1日でも日本から外国に行くには、再入国許可を取る必要があります。
注意が必要です。
まとめ
この記事では難民認定申請について解説しました。
難民認定申請を行う場合は、自身が難民であることを証明するために膨大な資料を用意する必要があります。
また、不許可になった場合はその後、再び難民認定申請をするのか、在留資格変更許可申請をするのか慎重に検討する必要があります。
難しい手続になりますでので、専門家へ相談することを強く推奨します。
関連ページ
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出入国在留管理庁の難民に関するページ
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©行政書士植村総合事務所 所長 植村貴昭
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