コラム(各種情報)

第18回 アメリカ知財について。公には調和よりも公平公正を重じるために注意すべきことは何か。

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

アメリカ知財について。
公には調和よりも公平公正を重んじるために注意すべきことは何か。

植村のコラム18

前回は、「契約書の作成について」お話しさせていただきました。
少しだけ、偉そうだったなぁと反省しております。

今回は、アメリカ知財です。

外国のことは、興味ないですという方も多いと思いますが、
逆に、訴訟大国と聞いているアメリカでは知的財産はどんな感じなのか
ということに興味がある方もおられるのではないでしょうか。

アメリカの知財訴訟

アメリカの知財は、正直すごいです。

日本とアメリカでは、知財訴訟における損害賠償額は、100倍違うと考えてください。

日本で1億円の損害賠償事件なら、
全く同じものでも100億円貰える・取られると考えてください。

まさに、知財訴訟に負けるということは、
小さい企業ならもちろん、中堅企業であっても
会社がなくなるというのと同じ意味を有しています。

大きな企業であっても、一気に会社の財務環境が悪化する事態なのです。

 

2006年に東芝が米国マイクロン社に数百億円支払った
という事件も覚えている方もおられると思います。

ですから、アメリカの知財をどうするのかというのは、正に最も重要な事項です。

それに引き換え、日本は、
まあ負けても大したことがないという扱いになってしまいます。

それゆえ、日本における弁理士の地位は低いのです(悲しいです)。

逆に、アメリカの弁護士(弁理士)は、
それだけの額のお金に関係することを扱っていますので、
費用もメッチャメチャ高いです。
同じことをしても日本の場合の10倍ということも別に珍しくないです。

 

では、なぜ、こんなに損害賠償額が高いのかというと、
まず、日本の裁判官は損害額を低めに認定する傾向が高いのに対して、
アメリカの裁判官はそのようなことがないため、
すごい額の認定がされることがあります。

さらに、アメリカでは、
故意(知っていること)で侵害をすると3倍の賠償としてもよいことになっております。
それゆえ、先ほどの高く認定された額を、さらに3倍することになるため、
それらが合わさって100倍となってしまう可能性があります。

それゆえ、アメリカに輸出している会社様は、
私が言うまでもないのですが、本当に気を付けてください。

これから、アメリカに輸出を始める予定の会社様は、
是非アメリカの知財の状況は確認しつつ、進出してください。

 

さらに、アメリカの知財は、最近は多少日本の制度に似てきましたが、
多く日本とは異なる制度を有しているため、
日本で多少知財を知っていてもそれが通用しない場面が多くあります。

細かい制度を説明してもよいのですが、
あまり興味がないと思いますので、ざっくり説明すると

彼らの法律については、
権利を行使するものは公平・公正でなければならないという思想があり、
それに反している場合はフロード(不正)ということになり、制裁を科されます。

制裁とは、例えば権利が無効になるとか、権利行使が認められないとかいうものです。

・・・・。うーん、アメリカ・・・!?公平公正・・・!?

 

これに関しては、いろいろ思う方もいると思います。

ただ、少なくとも、アメリカは公には、
調和よりも公平公正を重んじてそれをスローガンに存在している国であり、
多くの人はそれを信じているということです。
(ちなみに、この辺りのくだりは、何度も何度も書き直して
このような表現になったものです・・・。)

先ほどの、3倍の賠償というのも、わざと人に損害を与えた人には、
実際の損害額の何倍も支払わせることが公平
と彼らが考えているということなのです。

まだまだ、この考え方によるいろいろな特殊な制度はあるのですが、
細かいので無視することにします。

 

さて、少し長くなってしまいましたので、手短に次回の予告をさせてください。

次回は、パチンコ・スロットルの知財です・・・・。
またしても、ディープな世界に突入してしまう植村なのでした・・・。

以上

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