コラム(各種情報)
スマホ用カメラの特許は
![]() |
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
携帯電話に内蔵されたデジタルカメラは、2000年代初頭に日本で登場し、急速に普及したも
のであり、広角レンズ、望遠レンズ、マクロレンズなど様々なレンズを使用して、撮影シーン
に合わせて使い分けることができます。
近年、スマートフォンに内蔵されたデジタルカメラの高性能化には、目を見張るものがあります。撮像素子に2億画素の高解像度の撮像素子を用いたものも登場しております。一般のユーザでは、撮影専用のカメラを所有せず、スマートフォンのデジタルカメラのみでさまざまな撮影を行う層が多数派となっております。しかしながら、スマートフォンのデジタルカメラは、フルサイズの撮像素子を用いた一眼レフ、ミラーレスのデジタルカメラに比べて画質が劣っております。この画質劣化の最大の理由として、撮像素子の画素数に光学レンズの解像度が追い付いてないことが挙げられます。スマートフォン内蔵のデジタルカメラの光学レンズは、軽量薄型化へ発展することが要求されているため、小型であり、製造においてレンズスペーサの設計と加工に問題があります。レンズスペーサは、光学性能全体の焦点距離、収差に対して影響があり、デジタルカメラモジュールの解像度にも影響があります。この問題に対応する特許の例として、特許第7340644号のスプリットレンズと撮像モジュール及び電子機器があります。
特許第7340644号公報には、第1のレンズセットを含む第1のレンズ群と、第2のレンズ
セットを含む第2のレンズ群と、第1のレンズ群と第2のレンズ群との間に所定の光路を形成して
スプリットレンズの構造に適合するように第1のレンズ群の下端に位置するレンズと第2のレンズ
群の上端に位置するレンズとの間に安定的に設置されている少なくとも一つの遮光素子とを含むス
プリットレンズが記載されております。
スマートフォン、タブレット、ラップトップ等を含むスマートモバイルデバイスの流行につれて、光学レンズについての設計と研究開発は、より多くの課題に直面することになります。光学レンズの高性能化には、レンズスペーサの改良に限らず、レンズ設計、レンズ自体の高精度化、コーティングの改良等、多岐の要因が挙げられます。このような状況に対して、光学レンズの特許の出願は、十分なものとは言えない状況となっております。しかしながら、出願が十分でないことで、光学レンズの技術は、特許要件の新規性、進歩性を満たすのが容易で、広い権利範囲の特許権を取得する可能性が高いともいえます。
この機会に自慢の光学レンズの特許出願に挑戦してみてはいかがではしょうか。
以上