コラム(各種情報)

パチンコ業界の状況打開を特許より考える

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

パチンコホール業界は、少子高齢化やレジャーの多様化、さらに社会的なパチンコ離れにより
、1990年代後半をピークに縮小傾向が続いています。この縮小傾向は、近年まで、技術革新と出球
性能の規制緩和により。比較的ゆるやかなものでした。
 しかしながら、2022年後半ごろから、パチンコの営業の基本であった釘調整に対する当局の対応
が厳しくなっており、これによりパチンコ店は、釘を開けることによる集客が行えず、致命的な客
離れを起こしております。
 尚、パチンコ店に納品されたパチンコ台の釘調整を行うことは、厳密には公安委員会から事前の
承認を受けない限り、無承認変更として違法となります。しかしながら過去には、暗黙の了解とし
て釘調整が行われておりました。
 このようなパチンコ業界の状況打開について、特許文献に基づいて考えます。
 特許第7155671号公報に記載の遊技機は、遊技球の出球率を変更できる遊技機として、特別図柄の保留回数が上限に達した場合に、所定の確率で、現在設定されている遊技態様に対応する設定示唆情報が出力されるので、遊技者は、それを視認することで本パチンコ機における現在の遊技態様の種類、すなわち、遊技球の出球率(機械割、ペイアウト率)を好適に認識することが可能となります。
これにより、特別図柄の保留回数を上限に達するまで増やすことによって、遊技中のパチンコ機
において現在設定されている遊技態様を推測する遊技性を付加することができます。
 特許第7155671号公報に記載の遊技機以外にも、遊技球の出球率を変更できる遊技機は、設定付きパチンコとしてパチンコ店に導入されていますが、このような設定付きパチンコは、パチンコ店から消えてゆきました。この理由として、設定と釘調整という要素が組み合わさることで、ユーザーが勝ち負けを読みにくくなり、結果的に負けと考え、プレーを行わないという選択に至る、最低の設定で使用されると判断する、等があります。しかしながら、釘調整が規制されている以上、現段階で設定付きパチンコしか状況打開の鍵は見当たりません。ユーザーの大多数は、勝つ為にパチンコ店でパチンコを打つのであり、釘調整が行えず、負けるとわかっているパチンコを暇つぶしで打つユーザーはごく一部です。これに対して、設定付きパチンコは、特許第7155671号公報に記載の遊技機のように、遊技球の出球率を好適に認識することを可能する等の工夫により、業界の救世主となるかもしれません。
 この機会に設定付きパチンコの特許出願に挑戦してみてはいかがではしょうか。
                                    以上