新製品の製造販売を始める!特許侵害(実用新案侵害)の恐れ
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
新製品の製造販売を始める!特許侵害(実用新案侵害)の恐れ
特許権侵害になるのが心配!
新製品を本当に作る段になって気になるのは、
もしかして、他人の特許権(実用新案権)などを、
侵害してしまって、差止請求や損害賠償請求を受けるのではないか
ということになります。
どうすればいいのか? その答えは侵害調査
この懸念を解消するための方法として、
侵害調査というものがあります。
(侵害調査については、
特許の調査(特許検索)の種類(先行調査・無効調査・侵害調査)
をご参照ください)
しかし、費用等の問題も
ただ、上記ページでも触れていますが、
侵害調査は、とてもお金がかかります。(1観点で40万円~です)
しかも、製品を作るとなると、様々な観点から調査が必要です、
思ってもいないところが特許権などになっている可能性もあります。
そういった、全ての観点を調査することは、実は不可能です。
費用もとても掛かります。
観点が増えるにつれて費用が、ある程度比例的に増えていくからです。
完璧ではない!
そこまで費用をかけても、100%といえません。
さらに相手が、意図的か、たまたまか分かりませんが
地雷移動攻撃的なことをしてくるのであれば、
特許権になって確定するまでは、予想することは困難です。
(まあ、そんなことする弁理士は、私以外ほとんどいないとは思いますが)
ではどうすればいいのか?
それに対しては、私は、無視して作ってしまいましょう。
と言ってしまいます。
(もちろん、特許権等の侵害になってしまう恐れはあります)
その理由は・・
(1)見つかる可能性は低い
売れてないうちは、どうせ見つかる可能性は低いです。
万が一見つかっても、相手が放置する可能性も高い。
ある程度売れてから警告が来る可能性はあるが、
その時は、製造費用ぐらいペイできている可能性が高い。
(2)回避可能な場合も多い
もし、侵害といわれても、その権利を避けることも可能な場合が多い。
(私はそのお手伝いもします、というか得意分野です)
なぜなら、上記地雷移動攻撃でも書いていますが、逃げられないほど、
広くて強い権利が取れる可能性は、”特別な弁理士がついていないと”
(特別という意味については、このページの「普通ではない弁理士」
の部分を参照ください。)
難しいからです。
(3)無効審判でつぶすこと、小さくさせることも可能
もし、侵害といわれても、その権利を潰す等することも可能な場合がある。
(私はそのお手伝いもします、というか得意分野です)
(4)時間がかかる
訴訟には時間がかかります。
特許権などの訴訟の場合、警告から始めると平均的には2年ぐらいは平気でかかります。
さらに、控訴審まで行く、引き延ばし戦略をとるなどすれば、
さらに伸ばせます。
(5)逃げることもできます
もしばれて訴訟で負けてどうしようもなくなっても、例えば会社で行っている場合は、
最悪、つぶして逃げるという方法もあるのです。
なお、会社設立も、植村の得意分野です。
(6)こちらも出願
さらに、こちらも出願してしてクロスライセンスに持ち込むという方法もあります。
もう少し、説明すると、侵害訴訟で相手から警告が来たり、訴訟を起こされている時に
こちらが全く特許を持っていないと、こちらから相手を攻撃できません。
一方的に殴られる状態になってしまいます。
つまり相手は、全くリスクなく、相手をたたくことができます。
万が一、訴訟などで負けても、弁護士費用などは無駄になるでしょうが、それ以上のリスクはないのです。
他方、こちらも特許出願中の場合(特許権を持っている場合)には、
話が違ってきます。
具体的には、こちらも、特許あるから警告や反訴を起こすのです。
警告の段階でも、こちらも、権利(出願)あるからもし、訴訟などを起こすならば、こちらも本意ではないけど、
訴えることになる。と伝えるのです。
そうすると、相手としては、藪蛇になることを恐れます。
特に、一回の知財部員(法務部員)の場合、勇んで、相手をたたいたところ、
逆位訴えられて、負けたということになれば、その知財部員(法務部員)の評価は大きく下がることでしょう。
やらなくていいことを、あえてやって、会社に損害を出した、
そこまでいかなくても、損害を出すかもしれないという、状態になるならばどうでしょうか?
普通のサラリーマンであれば、そんなことしませんよね(笑)
という理由もあって、私は、特許出願をお勧めしております。
もちろん、この時も、地雷移動攻撃は極めて有効です。
殴ってきた相手に、ターゲットを絞って権利化すれば済むのですから。
結論?
以上から、やってしまいましょう。
儲かってから考えましょう。
今の段階で、無駄な費用をかけるのは止めましょう、と言うのがアドバイスです。
ただ、リスクはあるということは事実です。
(ごめんなさい!)
私は、リスクはあるけど、まずは一刻も早く、作って売ってしまいましょう!
考えるのは、後からです。
儲かってもいないうちから、心配しないでいいです。と判断しております。
リスクのない商品などない!
正直申し上げますと、
商品やサービスが、全く新しく、他人の権利に全くかすらずにも始められることというのは、
ほぼないと思っております。
大抵、前に同じようなことを考えた人がいることはあります。
そうでなくても、事業化するにあたり、いろいろな技術を利用することになると思います。
例えばですが、Uberのように食べ物のデリバリーを始めるような場合、
に、気になる特許はそのビジネスモデルだけが危険かというとそうではないです。
もしかしたら、あの食べ物を入れる箱が特許を取られているかもしれません。
ビジネスモデルではなく、
その基礎となる、ソフトウエアの電気的な暗号化に権利が取られているかもしれません。
注文を受けるWebの画面の配置に権利が取られているかもしれません。
配達員の管理システムに権利があるかもしれません。
お店の管理システムに権利があるかもしれません。
正直、想像もできないところに、無数にあるのです。
全部を確認できませんし、まだ公開されていないだけかもしれません。
公開されていても、後から、変化させるかもしれません。
それを恐れて事業を進めないのではなく、進めて、利益が出てから考えるという、
スタンスでもいいのかと思います。
もちろん、リスクはあります。
しかし、そのリスクが顕在化するのは、前述したように事業を進めて、ある程度事業化が成功した時がほとんどです。
そのため、今は進めるというのも経営判断だと思います。
過去の本件に関する質問ページ
Q&A:ソフトウエアの製造販売を始める!特許侵害(実用新案侵害)の恐れ
関連ページ
特許の調査(特許検索)の種類(先行調査・無効調査・侵害調査)
©弁理士 植村総合事務所 所長 弁理士 植村貴昭