(特許・商標等)の知財に限定した包括委任状
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
包括委任状をお願いします
このページは包括委任状をくださいとお願いした、お客様に案内するページです。
まずは、「包括」委任状と聞いて驚いておられるのではないでしょうか。
ただ、包括委任状と書いてありますが本当に何でもできるわけではないです。
印鑑はいらず、ただ承諾でよい!
特許庁の運用変更により、包括委任状は印鑑がいらなくなりました。
そのため、この書類の提出は、
ただ、この内容でいいですと言っていただければ、それで足ります。
記載内容の限定内容
条項が多くて、読みづらいかと思いますが、
以下の限定がついております。
1 特許庁へ提出する書類(特許・実用新案・意匠・商標)に限定されております。
もうちょっとわかりやすく言うと、それ以外の権利は与えられておらず、
勝手に、誰かと契約する権限は与えられていません。
例えば、土地を売るとかの権限も与えられていません。
2 1と関連してですが、特許庁への提出書類は特許庁が拒絶する場合があります、
そのような場合に、特許庁の処分等が不当として裁判する権限は与えられています。
しかし逆に言うと、それ以上の権限は与えられていません。
弁理士という立場からの限定
弁理士は、弁護士とは異なり通常の法律業務を扱うことはできません。
そのため弁理士の立場で、例えば、
知財に関係ない契約を業として(お金を取って)することは、
弁護士法等に違反してしまいます。
そのため、特許庁に提出する書類(今回であれば、包括委任状)に
そのような違反ができますという条項を入れることはできません。
弁理士会からの統制等
万が一、上記以外の権限をこの包括委任状によって与えられているとしても、
お客様の承諾なく、それらを行使した場合には、弁理士法違反です。
資格のはく奪も当然にあり得ます。
それに加えて、それによってお客様に損害が発生した場合、
損害賠償の対象です。
弁理士業での損害賠償は、無限責任ですので、
その損害を免れることはとても困難です。
なぜ包括委任状が必要か?
正直、何かあるたびに委任状を作り、お客様から印鑑をいただき
提出することが、お客様にとっても弊所にとっても大変負担だと思うからです。
そして、前述したような理由により、包括委任状とはいえあくまで知財や特許庁に対するものだけに限定されており、
大きな不都合がないと考えるからです。
お客様の印鑑が必要ない
特許庁の運用に変更により、現在、包括委任状には、
お客様の印鑑は不要になっております。
そのため、弁理士は悪いことを考えるのであれば、
お客様の承諾なく・一切の通知なく、包括委任状を提出してしまうことが可能です。
悪い弁理士がいたら、なんでもできてしまうのです。
ただ、特許庁がなぜそのような運用を許したのかということを考えると、
前述したように、特許庁へ提出する包括委任状は、制限されていて、
お客様に大きな不利益は、ないと考えたということだと思います。
弊所の包括委任状の内容
包 括 委 任 状 令和6年4月 日 私(私ども)は、 記 1.特許庁(審査官・審判官・特許庁長官を含む)を相手方とするすべての手続(審判・訴訟を含む) 住 所 |
拒否される場合
しかし、お客様の中には、この包括委任状について嫌だといわれる方がおります。
正直、上記のように限定(知財への限定)があり、弁理士会等の制限もあるなか
拒絶されると、私を信頼いただけていないのだなと感じてしまいます。
この条項が拒絶する理由だ、と言っていただければ分かるのですが、
そうでなく、ただ何となく拒絶という場合は信頼関係が築けていない傾向が顕著です。
どうしてもいやな方へのページ(個別委任状)
上記つらつらと、書いてきましたが、やはり「包括」という言葉からどうしても、
包括委任状が嫌だという方には、下記の個別委任状にて対応させていただきます。
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ポラリス知財コンサルティング 代表 植村貴昭
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