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周波数(HZ)とは?|特定技能 ビルクリーニング
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
周波数(HZ)とは?
電気には、直流と交流の2種類があることはご存知でしょう。
例えば、乾電池のように「+(プラス)」と「-(マイナス)」といった電極があり、
電気が一定の方向に流れるものが直流です。
一方で、電力会社から送られてきてコンセントを通して使用している電気が交流です。
交流電流は電気のプラスとマイナスが常に入れ替わっているもので、
実際のところ1秒間に何十回も入れ替わっているのです。
この交流電流の入れ替わる波の回数のことを周波数と呼び、
周波数の単位にはHZ(ヘルツ)を使用しています。
日本の電気の周波数は地域によって2種類
日本の電気は、
東日本は50Hz(ヘルツ)
西日本は60Hz(ヘルツ)
地域によって2種類の異なる周波数で電力会社から供給されています。
- 50Hz地域・・・北海道電力、東北電力、東京電力
- 60Hz地域・・・北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力
- 50Hz
60Hz混合地域・・・中部電力
電気の周波数と電力自由化
2016年4月の電力自由化によって、私たちは一般家庭も住んでいる地域に関わらず、
全国の電力会社から好きな電気を選んで買う事が出来るようになりました。
しかし、前述の通り、日本の電気の周波数は地域ごとに異なり、
2種類の周波数が存在しています。
例えば、東日本の電力会社が供給している周波数50Hzの電気は、
周波数60Hzの西日本にも送電することは出来るのでしょうか?
実は、周波数を変換する変換設備を通すことで、
周波数の異なる電気を東西に送電することが可能になります。
現在、東京電力と中部電力、さらにJ-Powerの3つの電力会社が、
それぞれ新信濃変電所(長野県)、東清水変電所(静岡県)、
佐久間周波数変換所(静岡県)と
日本の東西の境目あたりに周波数変換設備を所有しています。
東日本大震災以降、日本の安定した電力供給のために
東西の異なる周波数の電気を融通することの必要性があらためて認識され、
今後さらに周波数変換設備を増やす計画が発表されています。
周波数の変換能力が上がれば上がるほど、電力自由化後にも周波数(ヘルツ・Hz)の
異なる地域をまたぐ全国的な電力供給がより容易になっていくでしょう。
どうして日本の周波数は統一しない?
しかし、電気の周波数をわざわざ変換するよりも、
東日本の周波数50Hz(ヘルツ)と西日本の周波数60Hz(ヘルツ)を
どちらかに統一してしまえばいいのではないでしょうか?
実は、これまでも日本の2つの周波数の統一については何度も議論されてきているのですが、
資源エネルギー庁の調べにより、
周波数の統一には莫大な費用が掛かることが明らかになっています。
50Hz(ヘルツ)用に設計された機器を60Hz(ヘルツ)用に変更する、
又はその逆の場合でも、発電所の発電設備や変圧器を全て取り替える必要が出てくるからです。
さらに、電力を使用する需要家である工場や一般家庭などでも、
場合によっては機器の取り替えが必要と予想されており、
その総額は10兆円以上にもなると見積もられています。
又、これらの取り替えが完全に終了するまでには、何十年も掛かると試算されています。
この様なことから、周波数50Hz(ヘルツ)と60Hz(ヘルツ)を統一するよりも、
周波数変換設備を強化する方がコストも時間も少なく済む、という結論に達しているのです。
そもそも何故日本には周波数が2つ有るの?
ところで、そもそも何故日本には50Hz(ヘルツ)と
60Hz(ヘルツ)という2つの異なる周波数が存在するようになったのでしょうか?
その理由は、日本に電気が到来した際、
東京ではドイツ製の周波数50Hz(ヘルツ)の発電機、
大阪ではアメリカ製の周波数60Hz(ヘルツ)の発電機を
使用し始めたからだと言われています。
世界の周波数の違いを見てみると、現在もアメリカ側は60Hz(ヘルツ)、
ヨーロッパやアフリカ側は50Hz(ヘルツ)の電気が使用されています。
電化製品での注意点!
ここで、注目するべきは電化製品です。
50Hz(ヘルツ)もしくは60Hz(ヘルツ)を基準として作られている電化製品を
異なる周波数の状況下で使用すると、モーターの回転数が変わって性能が低下したり、
過剰に働いて火災の原因となったりします。
場合によっては電化製品が痛み、故障を早めてしまう可能性もあるでしょう。
オフィスの移転などで周波数の違う地域に引っ越す際には、
今使っている電化製品がどの周波数で作動するのかを確認することが大切です。
とは言え、近年では50Hz、60Hzのどちらも使用出来る電化製品も増えてきました。
モーターの周波数を適切に変えて回転数を調整する「インバーター」が内蔵されている、
ヘルツフリーの製品も多く登場してきています。
近年の製品であれば、動作不良を起こす心配はほとんどないでしょう。
「50Hz/60Hz」と表示されていれば、どちらの周波数でも使用可能です。
製品によっても異なりますが、種類ごとの目安としては以下の通りです。
- そのまま使用出来る電化製品
エアコン・テレビ・パソコン・コタツ・温水器・電気ストーブ
- 使用可能だが多少性能が落ちる可能性のある電化製品
掃除機・扇風機・ミキサー・ドライヤー
- 周波数の確認が必要な電化製品
洗濯機や乾燥機・冷蔵庫・電子レンジ・蛍光灯(インバーター内蔵なら大丈夫です)
特に電子レンジや蛍光灯は、未だに50Hzもしくは60Hz専用のものが多いので、
必ず確認しましょう。
製造年月日が古い物は要注意です。
現在では、電化製品のヘルツフリー化によって、
今までより周波数を気にする必要がなくなってきました。
とは言え、知らずに合わない周波数の電化製品を使っていると、
作業効率が落ちるばかりか、火災や事故の原因となる恐れもあります。
移転や引っ越しの際には、是非とも周波数の確認をしてみて下さい。