侵害調査をしてほしい!との依頼について
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植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
侵害調査をしてほしい!との依頼について
弊所には、よく、新製品を作るにあたって侵害調査をしてほしいという依頼が来ます。
※ 侵害調査 = その製品が他の特許権等を侵害していないか調査してほしい
= その製品を作っても訴えられたりしないか調査してほしい
侵害調査は、調査(先行調査・無効調査)の中でも最も大変、かつ、責任の重い調査になります。
なぜなら、もし、ここで調査ミスがあると、将来的にその方の製品が特許権侵害等で訴えられることになるからです。
その時多くのお客様は、調査をした弁理士に対して責任を追及したくなるものと思います。
その場合の責任は場合によっては、億を超える可能性も十分にあるのです。
絶対ではない
そして、調査は100%完璧でもありません。
人間ですので見落としがあり得ます。
調査範囲
さらに、この製品の侵害調査をしてくださいと言われても実は簡単に調査できないのです。
製品から調査の対象(観点)を抽出しなければなりません。
例えば、自転車を見せられてこの製品の侵害調査をしてくださいと言われても、調査対象はたくさんあります。
(1)ハンドルの形
(2)ハンドルの材質
(3)サドルの形
(4)サドルのクッションの構造
(5)変速機構の構造
(6)車輪の構造
(7)車輪の材質
(8)車輪の伝達機構の構造
(9)かごの取り付け方
等々
無数に出すことができます。
このような観点ごとに特許が成立しているかもしれないのです。
そのため、調査の観点が漏れてしまうと調査をしても見つけることはできません。
調査範囲による費用
侵害調査は大変重たい調査なので、費用は1観点毎に40万円程度もかかります。
多くの観点で調査は費用の面で難しいことがわかります。
他方、観点が抜けてしまうとそもそも調査範囲外となってしまいます。
そのため、侵害調査は簡単に何百万にもなってしまいます。
調査しても出てこない文献等
特許庁に出願された特許等は一定期間、アクセス可能なデータベースに収納されません。
(特許の場合、出願から1年半は収納されません)
そのため、そもそもそのような特許等の出願については調査不能です。
特許権の範囲の変動
特許出願等はその審査段階で特許権の範囲を変更することが可能です。
そのため、侵害調査の時には権利範囲外であったが、その後変動して権利範囲内になるということもあり得ます。
そのような場合には、しっかり調査しても、その調査の時には大丈夫であっても、あとから侵害になってしまうことがあり得ます。
特許権の範囲の変動
さらに、侵害が発生する可能性があるのは、意匠などもあり得ますし、
可能性から言うと、そもそも、登録されていない不正競争防止法に抵触するという可能性もあります。
まとめ
以上のことから、
大変残念なことに、侵害調査は大変お金がかかってしまい、
他方、したからと言って絶対に大丈夫とも言えないのです。
私からの提案
そのため、私は、侵害調査をしてくださいとのお客様には、
以下のようにアドバイスさせていただいております。
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