第10回 自力(自分)で特許出願をする方法
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
自力でできる 特許・実用新案の書類を書く方法講座
第10回 発明を実施するための形態の記載の具体的方法
1 【発明を実施するための形態】
(1)はじめに
さてさて、長い前振りでしたが、この発明を実施するための形態についての
記載方法について、以下書いていこうと思います。
たぶん、このページを読んでおられる方は、
特許の明細書というものを初めて書こうとしているのだと思います。
その為、かなり力が入っているのだと思います。
しかし、文章を書くのは苦手な方もかなり多いと思います。
そんな方に朗報ですが、
特許の明細書は、基本的に文章の流れはなくていいということです。
単に、その発明が説明できていればいいのです。
したがって、文章がつながってなくてもいいのです。
更に、話があっちいって、こっち行って、もいいのです。
全く問題が無いのです。
問題があるのは、書いていないことです。
書いていないことは、後から拒絶理由通知が来た際に追加しようとしても、
それは新規事項の追加になってしまうため、
許されていないのです。
その為、大事なことは
取っ散らかっててもいいので、とにかくいろいろ書く!
箇条書きでも問題ない!
ということです。
できれば図面を使って説明する。図面は、文章以上にいろいろな情報が書き込まれています。
その図面を使って、説明していくというのが良いです。
しかも、図面の各部分は、できるだけ細かく符号をつけて、
その符号ごとに説明していくのが良いです。
さらに、
他の実施例や変形実施例などを、いろいろ書くとよいです。
更にいうと、発明の原理の説明はしなくてもいいです。
現実に、それがちゃんと動いているのであれば、その図面などを記載してあれば、
その科学的な原理は不要なのです。
科学の論文ではないのです。
ぶっちゃけ、
「これをこうしたら、なんかよく分からないけどこんなものができて。
こんなものは、こんな効果がありました。理由はよくわかりません」
でも問題ないのです。
とにかく、役に立てばいいのです。
もっと、ぶっちゃけると、過去になく新しければいいのです。
(2)言葉使い
あとは、特許用語でとても難しい言葉があります。
螺着、篏合、有間篏合・・・・・
これらには、特許用語辞典というの特別にあるぐらい、
いろいろありますが、はっきり言います。
こんな難しい言葉は不要です。
普通の日本語で十分です。
(3)書き方のこつ1(構成要素の羅列)
まずは、その実施例にある部材を全部名前を付けて、
「〇〇と、△△と、・・・と、がある。」
でいいのです
サザエさんで、言うと、まずは登場人物を全部羅列で書いてしまうのです。
こんな感じです。
「磯野家には、波平と、フネと、さざえと、マスオと、
わかめと、かつおと、たらちゃんがいる。」
これだけでいいのです。
この時、登場人物のことを説明しようとしたり、
登場人物間の間柄を説明しようとしてはなりません。
それは次の段階でやるべきことなのです。
ここで、色気を出すと挫折します。
(4)書き方のこつ2(構成要素の説明)
次にやるべきことは、各構成要素をできるだけ詳しく説明するのです。
この時、文章は短く、書きましょう。長く書くと訳が分からなくなります。
何度も、「○○は」とかくと、国語では変な文章といわれますが、これは、
国語文章ではありません。
ただの、特許文章にすぎません。書いてあればいいのです。
分かりやすければいいのです。
こんな感じです。
「かつおは、小学四年生の男の子です。
かつおは、いたずら者です。
かつおは、野球が好きです。」
とこんな感じです。
カツオが終わったら、次の波平、ふね、と同じことを、単純に繰り返して、
全部の構成要素を書いてしまいましょう。
この時、他の要素との関係性は書かないでいいです。
それは次の段階での記載事項だからです。
あと、ここで書き方が難しいところがあれば、飛ばしてしまい、
あとで書けそうなら書く、ぐらいの気持ちで、どんどん先に行きましょう。
特許明細書作成で一番悪いのは、筆が止まることです。
(5)書き方のこつ3(各構成要素の説明)
次に、各構成要素間の関係性を書いていきます。
この構成要素と、この構成要素がこうつながっているとか、
この構成要素が、こうなったら、この構成要素がこうなるとかです。
例えば
「かつおは、波平とふねの子供です。
同じように、さざえも、波平とフネの子供です。
その為、カツオとサザエは同じ兄弟なのです。」
という感じです。
これを、各構成要素間で、書けることは全て書いていきます。
(6)書き方のこつ4(発明の効果)
次に、各構成要素の説明は終了したので、
発明の効果や、構成要素から帰結される効果を書きます。
ここでは、なぜその効果があるのかについて(理由、原理)を書かなくてもいいです。
次の段階で書くからです。
まずは、理由は説明していないけど、
こんな効果があるということを書いて下さい。
できるだけたくさん、箇条書きでいいので、書いてしまいましょう!
「以上のようだから、(←何が以上のようだからかわからないですが(笑))
磯野家は、いつも笑いの絶えない家になっている。」
こんな感じです。
(7)書き方のこつ5(発明の効果の理由説明)
最後に、先ほど書いた発明の効果が発揮される理由を説明します。
これを、各図面について書いていけば、ほぼ間違いなく、
問題ないはずです。
なお、同じようにして、変形実施形態や他の実施形態なども、
図面に書いて、説明していくとよいです。
(8)書き方のこつ6(まとめ)
さてさて、前述の発明の効果の理由説明などは、書けたでしょうか。
正直、書けなくてもいいのです。
以上説明してきたことは、最初が一番簡単で、だんだん難しくなってきております。
他方、最初の方が書けていないと、後から大変困りますが、
後の方は書いていなくても、実は、何とかなる部分なのです。
そのため、書けそうもないと思ったら、
飛ばして先に行って、後から、もう少し書けそうとなったら、
その時、さらに書いていけばいいのです。
以上、私の書き方講座は、できる範囲でどんどん書いて、
書けなくなったら、そこで先に進んで、
後から戻ってきて、書けたらかくという方法なのです。
そして、書けなかったら、別にいいしという方法なのです。
簡単でしょ(笑)
2【符号の説明】
符号の説明は、無くてもいいので、適当に流しましょう。
ただ一般的には、重要な要素はここで説明しておきましょう。
参考ページ
特許庁の参考ページは、こちらのページです。
まとめページは以下になります。
© 弁理士 植村総合事務所 弁理士植村貴昭