相続の手続と遺言書|行政書士ってどんなお仕事?
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
第1回:相続手続と行政書士 遺言書編
日本にはたくさんの「士業(サムライ業)」がありますが、
行政書士の専門はいったい何でしょうか?
「行政書士ってどんなお仕事?」のコラムでは、
10回にわたって、その専門性をお伝えしていきます。
さて、第1回目の今回のテーマは、「相続手続と行政書士 遺言書編」です。
大切な方が亡くなって、すぐにしなければならない、
「死体火葬許可申請書」や「死亡届」の提出は、
葬儀社のスタッフから案内があると思いますが、
役所関係への手続には他にも様々なものがあり、
ご自身ですべてを行うのはとても大変なことです。
いったいどこから始めればよいのでしょうか。
相続は、遺言書の確認から
まず、いちばん最初にするべきことは、「遺言書があるかないか」の確認です。
というのも、相続手続は「遺言書」がある場合とない場合で大きく分かれるからです。
「遺言書」がある場合には、
基本的に、その遺言書通り亡くなった方の遺産が相続されます。
しかし、「遺言書」が無い場合には、
一般的に「遺産分割協議」という手続に進んでいくことになります。
遺言書に種類があるの?
「遺言書」(ユイゴンショと読みますが、私たちはイゴンショと読んだりもします)
にはいくつか種類がありますが、
「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が有名です。
おすすめは「公正証書遺言」。
法律のプロ中のプロである公証人が、遺言書をチェックしたものですので、
その有効性には疑いはありません。
したがって、裁判所に持っていかなくとも、
それのみで亡くなった方の遺志がそのまま現世に生きることになります。
しかし「自筆証書遺言」の場合、まずは裁判所に「検印」の手続を申し立てなければなりません。
検印後、その遺言書の有効性を前提に、今後の相続手続が進んでいきます(※ 1)。
遺言の内容に納得できない!
自筆証書遺言とは、皆さんが想像するスタンダードなものです。
また、自分の字で親族に残す最後の手紙であるともいえます。
しかしながら、中には、「親族以外の者に全財産を…」といった内容だったり、
「長男に全部相続させる」といった内容だったり、
全員が納得のいく内容ではないケースが見受けられます。
いくら仲が良かったり、相続財産が少額だったりしても、
「アニキだけずるい!昔はオレのこと散々いじめたじゃないか!」
という私怨が出てくるのですよね…。
そのようなときには、「遺留分」といって、
遺言によっても侵害することのできない最低限の権利を請求することができます。
(遺留分減殺請求)(※2)。
「争続」にならないための遺言書原案作成
自筆証書遺言は、確かにリーズナブルかもしれません。
例えば、あなたが亡くなった後で、ご子息の一人が
「この遺言書は日付が無いから無効だ!」といって裁判を起こす。
なんてことも考えられるわけです。
ですから、後々のことを考えますと、
公正証書遺言にしたほうがトラブルになる可能性は俄然低くなります。
しかしながら、公証役場も非常に少人数
(埼玉県ですと、公証人の先生を含めて2,3人のところもあります)
で対応をしていますから、1から10まで全部を作成してくれるわけではありません。
そこで、行政書士業務のひとつに「遺言書の原案作成」というものがあるのです。
あなたの相続に関する希望を丁寧にインタビューして、それを書面にまとめます。
その際には、相続財産のみならず、家族関係のこともよく考えて、
いちばん丸く収まると思われる方法をアドバイスしたりもします。
そして、公証役場でスムーズに手続ができるようサポート致しますから、
一度ご相談いただければと思います。
(※1)もし、遺言書があった場合でも、相続人全員が合意をすれば、
遺言書の遺志とは異なった分割をすることができます。
(※2)相続の開始・贈与・遺贈があったことを知った時から
一年以内に請求をしなければなりません。
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