この商標登録できる?
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
この商標登録できる?
最近はインターネットでの検索が普通になったことで、
当事務所のお客様の中でも特許庁のJ-PlatPatであらかじめ検索をして、
商標出願にやってくる方がいらっしゃいます。
お客様としては、特許庁のサイトで検索をして同一の商標がなければ商標を取得することができると考えている方が多いのですが、
専門家からの視点から見ると商標登録が難しい場合もあります。
そこで今回は、どのような商標が類似と判断される可能性があるかを
分かりやすく説明させていただきます。
1 先願に係る他人の登録商標
まず、商標法は
「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又は
これに類似する商標であって、
その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又は
これらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの。」
(商標法4条第1項第11号)については登録できないと定めています。
簡単に言うと、すでに特許庁に登録されている商標と同じものは
新しく商標登録することはできませんということです。
同じ商標は当然ですが、条文には「類似する商品若しくは役務」も
商標として登録できないと定めていますが、何をもって類似と判断するのかがわかりません。
そこで、どのような商標が類似となるのかの具体的な基準を次に説明します。
2 外観、称呼、観念の認定について
結論としては、すでに出願されている商標と類似かどうかは、登録しようとする商標の①外観②称呼③観念という3つの基準に基づいて特許庁の審査官が総合的に判断します。
いきなり外観、称呼、観念といわれても何を言うのか普通の方にはわかりませんので、
これをわかりやすく説明していきます。
まず①外観とは、商標に接する需要者が、視覚を通じて認識する外形をいいます。
要するに見た目が紛らわしいと思えるかどうかです。
次に②称呼とは、商標に接する需要者が、取引上自然に認識する音をいいます。
つまり声に出したときに同じような音に聞こえるかどうかです。
最後に③観念とは、商標に接する需要者が、
取引上自然に想起する意味又は意味合いをいいます。
これは英語で表記した意味と日本語での意味合いが一緒といえるかどうかで判断します。
これら3つの要素を総合的に評価した上で、
1つでも同じと判断できる場合には商標類似となります。
3 具体例
では具体的にどのような場合が類似となるか3つの基準に分けて説明していきます。
①外観
「JAPAN」と「Japan」(←称呼、概念類似でもあります。)
「SONY」と「S0NY」(0はゼロです。)
②称呼
「ダイラマックス」と「ダイナマックス」
「ビスカリン」と「ビスコリン」
「ビュープレックス」と「ビューフレックス」
「ディズ」と「デーズ」
③観念
「JAPAN」と「二ホン/ニッポン」
「王」と「KING」
「KOKORO/こころ」と「COCORO/こころ」(←称呼類似にもなります)
商標を出願した場合、類似していると指摘されたからといって
途中で出願した商標を変更することはできません。
そのため類似と判断されてしまうと特許庁に払った費用が無駄になる場合があります。
弁理士は商標の専門家であり、どのような商標が類似すると判断されたか過去の事例も知っておりますので、
商標を出願して登録できませんでしたとならないよう
個人で出願を検討されている方も是非弁理士まで一度ご相談ください。
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