商標の弁理士費用が安い(費用が格安)は本当か?商標出願時(商標申請時)・商標登録時・特許商標事務所の良し悪し13のチェックポイント
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
商標の弁理士費用が安い(費用が格安)は本当か?13のチェックポイント
商標出願時(商標申請時)・商標登録時・特許商標事務所(弁理士)の良し悪しの判断基準・選択・比較・選び方
このページは、安いが全て!:激安・格安で商標申請・商標出願を受ける特許事務所(商標事務所)
のページをわかりやすく要点だけ説明したものです。
ただ安いだけ(激安、格安等の安さを売りにした)の事務所なのか大丈夫なのかの13のチェックポイントを記載します。
つまり、商標における弁理士の費用についての検討の材料を提供したいです。
このチェックポイントは、大きく分けて、
-
- 本当に安いのか?
- 品質はどうか?
の2つに大きく分けられます。以下説明します。
商標を申請するための弁理士の値段(費用)について本当に安いかチェックポイント
商標出願の弁理士費用について値段の安い高いを比較し判断するには、以下の点を確認して、
同じ土俵で判断しなければなりません。
拒絶理由通知の費用は?(CheckPoint1)
(1)拒絶理由時にも費用がかかる
商標に限らず特許庁に提出する各種の書類(例えば特許)などは、
提出(出願・申請)すれば必ず通るものではないです。
商標でも50%ぐらいは拒絶理由通知が来ているのではないかと思います。
そのため、拒絶理由通知への対応費用がいくらなのかを確認しておく必要があります。
もちろん、50%はこの拒絶理由通知が来ないのですから、
拒絶理由通知が来る確率によって、この費用まで含めて検討するのかを決めてほしいです。
ただ、いずれにしても、拒絶理由通知への対応費用は聞いておく必要があります。
この対応費用は、意見書と手続補正書の作成と提出の費用がいくらなのか、を聞いてほしいです。
(2)拒絶理由通知費用に関する関連ページ
登録時の事務所の手数料は?(CheckPoint2)
(1)登録時にも費用が掛かる
商標は出願した時だけでなく、登録時にも費用を特許庁に支払う必要があります。
そのため、出願時の費用が安くても、登録時の費用が高いのであれば、
トータルの費用が高くなることになります。
そのため、登録時の事務所の手数料は聞いておく必要があります。
(2)登録時の費用に関する関連ページ
登録時の権利維持年金の支払い期間は5年?10年?(CheckPoint3)
(1)5年分なのか10年分なのか?
商標は、権利維持するための費用が必要になります。
その時の費用は、5年分と、10年分で異なります。
具体的には
10年分 | 1区分毎に 28,200円 |
5年分 | 1区分毎に 16,400円 |
となります。
ここで、5年分の場合(1区分で計算)、16400×2=32,800円かかることになります。
さらに、5年終わった時に再度の納付の時にCheckPoint2の料金のような料金(事務所の5年時の納付手数料)がさらにかかることになります。
そうすると、10年たってみれば、確実に5年よりも10年分を一度に支払った方が安かったということになります。
一見、費用を安く見せるためにこのようなことをしている事務所が多くあります。
従いまして、このような見せ方をしている事務所が適切なのかはよく考えてほしいです。
(2)この部分の関連ページ
更新時の費用はいくらなのか?(CheckPoint4)
(1)更新時も費用がかかる
商標は永久権利です。更新を繰り返すことにより永久に権利を維持できます。
しかし、更新時(CheckPoint3の時)には、当然費用が掛かります。
特許庁費用だけでなく、弁理士費用もかかります。
50年権利を維持する場合には、登録時1回、更新時4回も
この費用が必要になりますので、塵も積もれば山となるということで、この費用は重要です。
(2)更新費用に関する関連ページ
品質について本当に安いのかチェックポイント
以下は、品質がちゃんとしているかのチェックポイントです。
一言で言い表すとすると、ちゃんとコンサルティング(相談に乗ってくれるか)してくれるか、
という部分です。
商標は、何でもいいから取ればいいというものではなく、その後の活用・応用までが、
大切なので、上記してきた、値段だけではなく、
下記の質の部分も極めて重要です。
この点について、以下をざっくり要約すると、
出願時(申請字)に、
しっかり話を聞いてアドバイスをしてくれる事務所なのか
ということです。
コミュニケーションが可能か?(CheckPoint5)
(1)Webを前面に出している事務所の最大の問題点
AIを導入しているとか、Webですべての情報のやり取りを行っていると、
ITを導入していることを売りにしている特許事務所・弁理士事務所があります。
確かに、その点は、お手軽になっているので良いことだと思います。
しかし、これらの事務所において、弁理士やその補助の方(特許技術者・事務担当者)への
コミュニケーションがおろそかになっていないかを確認してほしいです。
つまり質問をしたいときに質問ができない・しずらいなどの状況ではないか確認してほしいです。
また、こちらの状況(商標の使用状況、使用したい商品・サービスの内容、今後の事業展開、商標のデザイン)など、
を適切に伝えられるのかを確認してほしいです。
このようなコミュニケーションができないということは、相談もできず、アドバイスももらえないことを意味します。
そして、商標に過不足(取り忘れ、不適切な取得、不適切な商標選択)などがあっても、
責任を取ってもらえないということでもあります。
上記の各情報をもとに、例えば指定商品・指定役務等を選択することや、
商標をアドバイスしたり、商標の調査結果にもとに、提案を行ったりする(コンサルティング)は、
大変に手間・時間(何度もお伺いしたり、アドバイスしたりを繰り返します)がかかります。
Web上だけで行うような場合は、責任も全て出願人持ちになってしまいます。
つまり、
Web上だけでの対応、
AI等のIT技術の利用
調査報告等の一方的な送付、
担当者(弁理士・事務員等)個人メールアドレス等の連絡先を伝えない、
などの対応となっている場合は、何も聞いていないので適切なアドバイスできません、との弁理士の逃げを許してしまいます。
逆に、一度、上記のような各事情などを聞くと、それを聞いて適切な判断をしなかったということで、弁理士には責任が発生します。
これらの手間と費用、そして責任が発生しないのであれば、どこの事務所もかなり安くできると思います。
弊所も大変大変安くすることができます。(弊所手数料は1万円(税別)ぽっきりプランがあります。)
実は、Web等での申し込み(AIの利用)は、責任をすべてお客様におっかぶせているから安い可能性があります。
この点を、しっかりと確認してほしいです。
なお、以下は、実はすべてこの点についての内容なのです。
それをより細かく説明しただけだったりします。
(2)コミュニケーションに関する関連ページ
激安・格安 22:特許事務所の最大の問題点=コミュニケーション不足=コンサル不足
ちゃんと弁理士が見てくれる(チェックしてれる)のか?(CheckPoint6)
(1)誰が対応してくれるのか、出願だけか?
弁理士も一人の人間なので、できることが限られます。
そのため、それを補助していただくために、特許技術者や事務の方がいます。
そのような方とある程度の直接のやり取りをすることはよくあります。
もちろん、弁理士がそれらのチェックを必ずしているはずです。
(それがないと、弁理士法に違反します。)
そのような場合に、弁理士の先生がどこまでチェックしているのかは重要です。
もしかすると、チェックが甘いことがあるかもしれません。
ここを確認するには、下記にも書きますが、
この商標でいいですか?とか、この指定商品・指定役務でじゅうぶんですか?
将来的にこのようにしたいと思っているのですが、この指定商品・指定役務はここでいいのでしょうか?
権利行使を考えているが、どうすればいいのか?
競合会社が○○ですが、これでいいのですか?
出願するか否か事態を考えているのですが、相談に乗ってくれますか?
など、単に出願するという単純作業ではない部分を聞いて、
それに真摯に答えてくれるか、をみるとよいと思います。
(2)担当相に関する関連ページ
指定商品・指定役務について相談に乗ってくれるか・提案してくれるか?(CheckPoint7)
(1)指定商品・指定役務(サービスの決定)はとても重要
商標を取得する際には、必ず、マーク(名称)とともに、
そのマーク(名称)を何の商品・役務(サービス)に使用するかを、
セットにして、提出する必要があります。
このため、この商品・役務(サービス)を適切(十分)に選ぶことはとても重要です。
(誤って、選択してしまうと権利が無意味になってしまう可能性も大いにあります)
しかも、この部分の選択が、大変に時間と根気がいります。
過去の様々な経験にもよります。
お客様のお話をしっかり聞き、適切な質問をして、将来の夢などを聞く必要もあります。
そういうところまで、やってくれるのかが重要です。
つまりコンサルティングの有無はとても大事です。
ただし、古典的な商品など(普通の本屋、普通の飲食店、普通の服等)であれば、
コンサルティングをしてもあまり変わらないので、値段だけで決めてしまってもいいでしょう。
(2)指定商品・指定役務に関する関連ページ
会社設立時の会社名の決め方(ブランディング=商標の観点から)
商標漫画 2:ちゃんと商標を取ったのに、同じ商標が誰かに取られるかも!?
激安・格安4:コンサルティングの必要性、例えば「Kindle」の例
商標について相談に乗ってくれるか?(CheckPoint8)
(1)商標には良し悪しがあります
商標は会社の名前であれば、まさに会社の顔です。
一つの商品・役務(サービス)の名前に過ぎなくても、
その名前で長く商売をしようとしているのが普通だと思います。
もちろん、その名前を使ってうまくいけば、
上位商品、廉価版商品、多少関係性がある関連商品なども、
その有名になった名前を使って、広げていきたいことでしょう。
例えば、
主たる商品が化粧品 「こつこつ」だったとすれば、
上位製品が「こつこつ プレミアム」、
廉価版が「こつこつ スタート」。
化粧品から関係する、ネイルや香水などは、
「こつこつ +」
とかになるでしょう。
さらに、健康食品などもあれば、
「こつこつ 摂取」
なども考えられます。
このような横展開が可能なように、
弁理士としての過去の経験からアドバイスをもらう必要もあります。
また、外国にもその商品を出していきたいという場合には、
さらに、英語がいいのか、ひらがながいいのかなどの、提案をしてくれる事務所がいいのです。
(2)商標の良しあしに関する関連ページ
激安・格安6:ロゴ商標と文字商標の違い・比較・どちらを選択すべきか?
激安・格安7:漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字・英語のどの商標で出願すべきか:4つの視点
商標の調査をして、アドバイスをくれるか?(CheckPoint9)
(1)商標調査は最低でも必要
この商標調査は一般的に無料でやってくれるところが多いようです。
ただ、この部分を完全にAI等のコンピュータに任せてしまうところもあるようです。
類似非類似はある程度の精度でAIでもできるとは思いますが、
「識別力」についての判断はかなり難しく、
識別力がない商標は登録されないため、出願等が無駄になってしまう可能性があります。
それどころか、商標変更のために多くの費用が掛かりかねません。
そのため、商標調査はかなり重要です。
しかし、もっと重要なのは、
じつは次の、CheckPoint 10:代替の商標を提示してくれるかです。
(2)担当者に関する関連ページ
代替の商標を提示してくれるか(CheckPoint10)
(1)取得確率向上の代替え案など
そして、実はそれよりも重要なことがあります。
それは、調査の結果のアドバイスをしてくれるのか?です。
つまり、単にその商標の取得確率や、先行商標(先に出願された商標)を
提示するだけではなく、
どうすれば取得確率を上げることができるのかの提案、
代替え案の提示などを、
クライアント様のビジネスに沿ってアドバイス・相談に乗ってくれるのか
が本当に大事なのです。
単に、取得確率が60%ですとか、Bランクですというのだけでは不十分なのです。
さらに、場合によっては、取得確率100%でも、
本当にこの商標でいいのですか?
などの提案してくれる事務所が必要なのです。
(2)代替商標のアドバイス・提示に関する関連ページ
商標出願(商標申請)の必要性まで判断してくれるか?(CheckPoint11)
(1)商標出願は必ず必要とはいえない
商標出願(商標申請)は、必ずしも必要でない場合もあります。
もちろん、我々弁理士は、商標出願でお客様からお金をもらうので、
出願してもらわないとお金が得られません。
しかし、例えば、
書籍の名前
著作物のキャラクター名
キャラクターの絵
芸能人の芸名
YouTubeの名前
などは、通常取得の必要が高いとは言えません。
(グッズ販売などを行う場合は、必要になります。)
このように不要な場合に、しっかりと、不要ですと、
行ってくれる事務所なのかどうなのかもポイントとなります。
(2)出願の必要性に関する関連ページ
商標件を取得しても無駄かも!無駄か否か判断する3つのチェックポイント:商標取得と活用アドバイス
特許庁の審査官と戦ってくれるのか?(CheckPoint12)
(1)価値ある商標は取得困難!
東京大学が価値があるのは、入るのが難しいからです。
名前だけ書けば、誰しも入れるのであれば価値はありません。
実は商標も、その分野で商売をしている人であれば、誰しも取りたいような名前は、
記述的商標といわれる商標になります。
例えば、健康食品であれば、
「健康」などの商標(名前)は大変取得が困難です。
(識別力がない記述、米寿喜寿などの名前です。)
健康をそのまま取得することは、
いかに凄腕の弁理士でも取得は無理かと思います。
しかし、例えば、
「健康」をロゴ化したり、
同じような意味を間接的に表す「米寿喜寿」
などであれば、取得の可能性があります。
そのような商標の提案をしてくれるのかがまずは重要です。
(CheckPoint9の代替え案の提示部分です。)
そして、そうしてもなお、審査官は登録を簡単にしてくれません。
このため、登録をあきらめずに審査官と戦ってくれる弁理士、が必要なのです。
(2)審査官と争う関する関連ページ
商標権の権利行使まで面倒をみてくれるのか?(CheckPoint13)
(1)商標出願(商標申請)だけでなく、取得後の商標権の行使まで対応してくれるのか?
商標は、取得するだけでは意味がありません。
ライバル企業への牽制、警告、訴訟まで力になってくれる(争って)くれる
弁理士が必要なのです。
弁理士の先生の中には、権利取得は得意ですが、
争いの点は得意ではない、やりたくないという先生もいます。
そのため、警告・訴訟まで胆力をもって付き合ってくれる弁理士なのかも、
チェックポイントになります。
(2)権利行使に関するページ
商標権における警告書を送るとき(確認事項、雛形、テンプレート,例)
安い事務所が必ずしもサービスが悪いか?
そんなことはありません!
安い値段を実現すべく、様々なコストカットを行い、効率化することによって、
安さを実現している事務所も当然にあります。
(そのような事務所は、大変頭が下がります)
ただ、商標等の知財の仕事は、労働集約的であり、
安くするには、安い労働力で行うというほかないのが普通です。
この労働集約的な部分は、現在のところ、
残念ながら、AI等ではまだまだ難しく、
Web等のIT技術を導入していても、コミュニケーションをしないことによる、
コンサルティングや責任の回避となっている場合もあり得ます。
そのような事務所でないか否かをしっかりと比較・判断して、
特許事務所、商標事務所、弁理士事務所を選択してほしいです。
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©弁理士 植村総合事務所所長 弁理士 植村貴昭