業務委託契約で(技人国)技術・人文知識・国際業務の在留資格が取れるのか?

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

業務委託契約で(技人国)技術・人文知識・国際業務の在留資格が取れるのか?

業務委託で技人国は取れるか?

答え

結論を言うと可能です。

ただし、正社員等になるからということでの変更等の申請に比べて比較的難易度は上がります

その為、できれば、業務委託契約等ではなく雇用契約を基本的に強くお勧めしております。
下記のように、外国人本人による各種の手続きも必要になるため、
日本語が堪能ではない外国人がこれらの手続きをするのが容易でないため、上記のように強くお勧めしております。

解説

雇用契約を締結し、それに基づいて就労の在留資格を取得し、または在留期間更新をするのが一般的です。

本件の質問は、この雇用契約ではなく業務委託契約等(請負契約も含む)で技術・人文知識・国際業務の在留資格を得られるかです。

要件

技術・人文知識・国際業務の在留資格(ビザ)が得れれる要件として、

継続的なものであることと安定的な報酬が得られる」

があります。

① 継続的
② 安定的

です。

雇用契約であれば、この2つの要件を満たすと思われますが、
業務委託契約の場合この2つの要件を満たすかが問われます。

業務委託している会社は実は、不法入国の為の偽造組織ではないのか?

出入国在留管理庁の入国審査官の立場では、
この一般的な雇用契約ではなく、あえて、一般的でない業務委託契約を結んでいるということで、
疑いの目で見るのが一般的です。

具体的には、上記①及び②を満たすのか、
疑いの目で書類を確認します。

その際に、「なぜ、雇用契約でないのか?」という点も大きなポイントです。
業務委託契約でなければならない業務の内容なら問題ないと思いますが、
普通なら雇用でやれることを、あえて、業務委託契約である場合は許可されない可能性が高いです。

もっと言うと、

実は、技術・人文知識・国際業務の仕事をする気がないのではないか?
(他の目的で入国したのではないか?)

日本に来たあとはその外国人どっかにいってしまうつもりではないのか?

業務委託している会社は実は、不法入国の為の組織ではないのか?

業務委託している会社は実は、業務委託料を支払う気がないのではないか?

日本の社会福祉が目的で入国するのではないか?

等を疑われます。
これらの疑惑を全て解消しなければならないのです。

契約書の作りこみ

この疑惑を解消するためには、契約書の作りこみが必要です。
単なる雇用契約とは比較にならない作りこみが一般に必要です。

業務委託契約の場合、当然、金額も雇用契約よりも高い必要があります。
(外国人自身で社会保険、確定申告をする必要があることからです
 また、業務委託は一般的に高い技能を認めて締結することが多く、
 一般労働者にできないことを委託するものだからです。)

また、契約が途中で終了したり解除されたり、不払いがあってはならないので、
その部分にも目くばせが必要です。

さらに、業務委託の内容がその金額に見合うように詳細に決めて記載されている必要があります。

細かい業務の記載がなく単に委託するというざっくりとした契約は、
上記の疑いをより増してしまうものでしょう。

会社が契約を解除した場合・不払いの場合

このような契約があるにもかかわらず、
会社が所定の金額を払わない場合や、契約の解除があると、

その会社は、「実は、不法入国の為の組織」であるのではないかと強く疑われ
今後の外国人の受け入れに大きな不利益があり得ます。

注意点

確定申告等の手続

外国人が業務委託契約で日本国内で収入を得た場合、確定申告が必要です。
もちろん、居住地等の税務署に対してです。

この手続きを怠ると、更新などができないことになります。
業務委託契約で約束した収入(売上)がないなどの場合には、更新ができなくなると思われます。

売上自体があっても、経費が多く、
十分な収入がなく日本で十分な生活ができないと判断された場合も同様です。

確定申告時には、月ごとの売上も記載しますので、
業務委託契約が早々に終了しているような場合も、更新が困難になると思われます。

業務委託契約はあっても、収入に大きな増減があるような場合なども
安定性に問題があると判断される恐れがあります。

確定申告するための手続き

開業届や、青色申告書の届け出なども必要になります。

国民年金・国民健康保険への加入

さらに、個人として国民健康保険や国民年金に加入する等の義務が出てきます。
これらを怠ると、更新できない可能性が高いです。

更新時の書類

上記の確定申告と関係しますが、
納税証明書や課税証明書等必要になります。

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