解雇、雇止めや退職勧奨を受け失業した場合の対応
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
解雇、雇止めや退職勧奨により失業した場合
就労ビザで在留中に、勤務先からの解雇等により失業した場合の対応方法としては、在留期限がまだ残っている場合と、在留期限が切れた(あるいは、間もなく切れる)場合で異なります。
※2020年6月29日現在、新型コロナウイルスウイスルの影響により雇用状況の悪化した外国人を対象とする特例措置が施行されています。詳しくは新型コロナウイルスの影響により解雇、雇止め、自宅待機等となった方の救済措置
解雇、雇止め、退職勧奨とは?
解雇とは
使用者の一方的な意思表示による労働契約の解除をいいます。
雇止めとは
期間を定めて雇用契約を締結し就労していた社員につき、当該期間の満了後、次回の労働契約の更新をしないことをいいます。その会社の実情にもよりますが、一般的に、期間の定めのある労働契約を締結する労働者は次回も契約を更新してもらえると考えていますから、解雇に近い状況といえます。
退職勧奨とは
会社都合により自主退職を勧めることをいいます。これを受け労働者が退職の意思表示をした場合、形のうえでは労働者が自らの意思で会社を辞めたこととなります。もっとも、労働者としては、真意では会社を辞めたくないのに、退職勧奨を受け、やむにやまれず辞めるというケースもあります。この場合、形の上では自主退職とはいえ解雇や雇止めに近い状況にあるといえます。
対応
在留期限がまだ残っている場合
失業後も、就職活動を行っていれば、現在持っている就労ビザは有効です。
現在持っている在留資格と在留期限は取消されることはなく、在留期限満了まで日本に在留することができます。ただし、3ヶ月以上無職の期間が続くと在留資格取消の対象となります。
取り消されることがなくとも、次回の更新や変更申請の際に「なぜ3ヶ月以上無職の期間が続いたのか?」ということを入管に説明する必要が生じる可能性があります。
現在のビザが切れるまでの失業期間中については、前雇用主が発行した「退職証明書」等の文書を入国管理局に提出すれば、「資格外活動許可」を得ることによって週28時間以内限定でアルバイトをすることができます。
在留期限が切れた(間もなく切れる)場合
この場合でも、継続して就職活動を行っていれば、入国管理局に申請することにより、「90日」の「短期滞在」のビザが取得できる可能性があります。失業者の家族も同様に、「家族滞在」から「短期滞在」に在留資格変更申請が必要になります。
なお、就職活動目的の「短期滞在」での在留中に就職先が見つかった場合の手続には注意が必要です。一般的に、日本に在留中に在留資格が変わる場合、在留資格変更許可申請を行うことになるのですが、「短期滞在」においては、変更許可申請ができません。(人道上の理由等があれば例外的に許可される可能性がありますが、“就職先が見つかったから”という理由はここに含まれません)
そこで、在留資格認定証明書交付申請を行うことになります。外国人を新たに日本に呼びよせる際の手続きです。そのため、就職先が決まった場合は以下の手続を踏むことになります。
①日本において、在留資格認定証明書交付申請
⇓
②帰国(日本から出国)
⇓
③在留資格認定証明書の交付
⇓
④外国の日本大使館や領事館で査証の発給を受ける
⇓
⑤再来日
例外的に、「短期滞在」の在留期限の満了前に在留資格認定証明が交付された場合は、出国することなく在留資格変更が可能です。もっとも、「短期滞在」の在留期限は長くとも90日で、在留資格認定証明書交付申請の結果が90日以内に出るとは限りません。
どうしても出国したくないならば、入念に事前準備をしたうえで在留資格認定証明書交付申請を行う必要があります。入念に事前準備したとしても、あくまで原則は上記①~⑤の手続をとることなので、帰国したくないからといって在留資格認定証明書交付申請の審査スピードが速くなることはありません。短期滞在で日本にいる間に認定証明書がもらえる確率は非常に低いといわざるを得ません。
まとめ
この記事では、就労ビザで在留中に失業した場合の対応について記載しました。失業した場合、就職活動と合わせてビザの手続も早めの対応が求められます。お困りの方は、是非、専門家へご相談ください。
出入国管理庁HPはこちら
技人国から特定技能ビザに変更をお考えの方はこちらのページもご覧ください