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第12回 商標とお金儲けのお話。先に取ったもの勝ち!
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
商標とお金儲けのお話。先に取ったもの勝ち!
植村のコラム12
前回は、家紋と著作権のお話をさせていただきました。
その中で、法律を利用していろいろなお金儲けを考える人がいるのだ
と思われたと思います。
その話の流れで、商標とお金儲けのお話をさせていただこうと思います。
実は、商標法の歴史というのは、
商標を利用してお金儲けをしようとする人がいて、
それを防ぐような立法を次々してきたという経緯があります。
そもそも、我が国の商標は先に出願(登録)したほうが、
原則的に勝ちになるという先願主義をとっています。
そのため、使いもしない商標であっても、先に登録しておいて、
本当にその商標をほしいという方に売りつける
などの悪い考えを誘発しやすい制度といえます。
もちろん、日本国内の有名なお店の商標を、
先に取得してしまうこととかがあり得ましたし、
外国の有名商標を、日本国内では登録していないということを利用して
先んじて取得するということがかつてなされてきました。
このうち、外国に対する部分については、
日本の特許庁などは絶対に認めませんが、
あえて放置してきたと解釈できる節さえあったりします。
もちろん、ヨーロッパ・アメリカなどは、
そういったことを許さないように、外圧や条約などで、
その穴をふさがせるべく圧力をかけてきて、
それに応じてしぶしぶ導入した制度もあります。
ここで、不思議に思われた方もいると思います。
日本の特許庁が、
外国の有名商標を、日本国内で登録を許してきたということは、
正義に反するのではないかと思われると思います。
しかし、そもそも知財というのは、国家間の経済戦争の最も有効な道具です。
そのため、自国民(自国企業)に有利なのであれば、
できるだけそれを放置したいという事情があります。
もっというと、
自国民を法律上・明文で明らかに有利にする措置さえ、本当はやりたいのです。
自国民を明らかに有利にする措置は、
100年ぐらい前の条約(パリ条約)で一切許されなくなったので、
実際上有利な措置というのは、国家にとって放置したい対象なのです。
そういった事情で、日本でも昔は、
外国の有名になった商標を許してきたという経緯があります。
しかし、そういうことは
一つづつ外国からの外圧で改正せざるを得なくなってきました。
さらに、発展した日本自体が、発展途上国に
自国の商標を守ってもらうように外圧をかけるためには、
そのような不公平を放置するわけにはいかないので、
改正してきたというのが本当のところです。
ですから、今、中国で日本の有名商標等がどんどん取られているというは、
実は昔に日本もやっていたことでもあるのです。
中国のこの政策は、国家間の経済戦争の道具という観点からは、
正しい措置とさえいえるのです。
ちなみにですが、外国関係でどのようなことがなされてきたかというと、
・先ほど言ったように、外国の有名な商標を勝手に出願して登録する。
・日本国内の代理店が、その商標を勝手に出願して自分の商標として登録する。
・外国のお酒や食べ物の産地などを出願して登録する。
・外国で有名になったキャラクターや人物名を出願して登録する。
・外国では一般名称の名前を先んじて出願して登録する。
などなどです。
どれこれも、それだけで、1コラム書くことができるネタばかりです。
(ネタに困ったら、もう少し細かくお話しさせていただきます。)
言い換えると、どれこれも、
うまくやれば結構いいお金になりそうなことばかりですね(笑)。
さて、次回は、弁理士が言う「登録できます」
又は「登録できる可能性が高いです」という言葉の本当の意味をお教えしてしまいます。
(後で、私も困って後悔するかもしれませんが・・・)
以上
特許庁のHPはこちら