コラム(各種情報)

第13回 知られては困ってしまうお話 権利を取るのは簡単

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

知られては困ってしまうお話 

植村のコラム13

前回は、外国との関係において商標の悪用というお話をさせていただきました。
今回は、ちょっと弁理士にとって知られては困ってしまうお話をさせていただこうと思います。

実は、

弁理士にとって
権利をとること自体は実は難しいことではないのです。

ビックリされたことと思います。

これには、前提となることがあります。
「権利を役に立たないほど小さくしてしまえば」という前提です。
この辺りをもう少し、詳しくお話しします。

権利の範囲が小さいと簡単に登録できる

弁理士が対決するのは、特許庁の審査官(又は審判官)です。
彼らは、登録できない理由を考えるのが仕事です。

いわば裁判における検事の役割を果たしています。
さらに、審査官は、自分が考えた理由が正しいか最終的に判断する役割も果たしています。
いわば裁判における裁判官の役割です。

そのような、検事かつ裁判官を説得して権利化するというのが弁理士の仕事です。
ですから、本来は、権利化するのは極めて大変な作業です。
いわば、一件一件、すべて裁判をするのと同じです。
そのため、結果を保証することは極めて難しいはずです。
例えば、弁護士のところに相談に行って、勝てますかと尋ねた場合は、
いかに勝敗が明らかな場合であっても、可能性が高いとまでしか言えないはずです。

そのため、弁理士も同じように、登録できますということはできないはずです。
そのような中で、登録が可能であると言えるということは、
その権利が狭くてあまり役に立ちませんよ、と言っているのと同じなのです。

 

しかし、特許にせよ商標にせよ、弁理士に依頼するお客様は、広い権利を取りたいと考えているはずです。
具体的には、特許であれば市場の独占などを狙っているはずです。

そのような広い権利範囲の特許を取りたいとの依頼を受ければ、
検事かつ裁判官を説得して取れるかというと、かなり難しいということができます。

特に、特許の場合で、すんなりと特許がとれたという場合は、
極めて狭い権利となっていて、考えているような市場の独占のようなことは
絶対にできない特許ということができるのです。

 

ここで、具体的な例を挙げます。

半導体が最初に発見された際の基本特許についてですが、
当然この発明は極めて画期的な発明だったはずです。
しかしながら、権利化はかなり大変だったという歴史的事実があります。
このように、重要な特許は取得するのが難しいというのが当たり前なのです。

ですから、もし特許等がすんなりと取れた場合は、それはその弁理士の腕がいいのではなく、
最初から、役に立ないほど狭い権利にするような、お客様のことをあまり考えていない弁理士であった
という可能性さえもあるということになります。

さてさて、弁理士業界の実情を赤裸々に書いてしまいました。

だいじょうぶかなぁ私・・
弁理士会から何かいわれないかなぁ・・・。

では次は、本当に価値ある特許とは、というお話をさせていただこうと思います。
今回、狭い特許とか、広い特許というお話だったので、次回はその点を詳しく書かせていただこうと思っています。

特許庁のHPはこちら

以上