コラム(各種情報)
第21回「あなたの昔書いたラブレターがネットに公表されてしまったらどうします!?」
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
「あなたの昔書いたラブレターがネットに公表されてしまったらどうします!?」
植村のコラム21
前回は休ませていただき、大野先生に「移転価格」についてお話しいただきました。
今回は、あなたの昔書いたラブレターが公開されてしまったらというお話です。
人によっては、全く怖くないという方と、
すごく怖いという方とがおられるのではないかと思います。
(私はどちらだと思いますか?)
昔は、拡散する手段が、新聞・雑誌等だけだったので、
よほどの有名人でなければ、このようなことは気にすることはなかったのです。
せいぜいが、知り合い何人かにみられるという程度が関の山だったのですが、
最近はインターネットの普及によって、
だれもが簡単に公表することが可能となってしまいました。
しかも、内容が面白いとか、ちょっとだけ有名人であるとかということだけで、
大規模に拡散する時代になってしまいました。
そのため、このようなことを真剣に考えなければならなくなってしまいました。
さて、もしも想い人、又はその子孫等に公表されてしまったら
どうしたらいいのでしょうか。
このようなときに役に立つのが著作権法です。
著作権法は、およそ人がおこなった創作については、
全て著作権の成立を認めております。
その結果、作家や詩人でなくても誰もが、書いたラブレターに著作権が発生します。
そして、著作権法の中には著作者人格権というものがあります。
その著作者人格権の中には公表権というものが存在しています。
この公表権は、
著作者はその同意がなく著作物を公表されないという権利を有しております。
確かに、ラブレターというのは人に読んでもらうことを前提にしたものではあります。
しかし、ラブレターという性質上、
想い人に対してだけ読んでもらいたいというのが、通常の方の感性だとおもいます。
そうすると、ラブレターについて、
たとえ恋人であっても同意なく公表することは、この公表権を害します。
そのため、ラブレターの著作者であるあなたは、
その相手に対して公表権侵害なので
公表をやめるように求めることが“法律上”可能となっております。
ここで、あえて、“法律上”といわせていただいたのは、
法律上できるのですが、その相手が任意でしたがわない場合、
もし本当に法律上の権利を行使するとなると、裁判所に訴えることになります。
そうすると、面白がられてもっと拡散してしまうかもしれません。
また、相手が消してもそのコピーが出回ってしまっており、
今更意味がないという事態もあり得ます。
そのため、“法律上”はともかく、
本当に権利行使するのであれば、慎重に行う必要があります。
やはり、そういう将来的にどうなるかわからないものを書くのには、
時間とともに消えるペンなどがいいのかもしれません。
さてさて、今回は怖いうえにあんまり救いのないお話になってしまいました。
次回は、知的財産(特に、特許、意匠、商標)というものは、
企業にとってどのような性質を持っているのかを説明させて下さい。
以上
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