コラム(各種情報)

第31回 八つ橋のように一般名称になる前に商標登録をすべき

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

八つ橋のように一般名称になる前に商標登録をすべき

植村のコラム31

前回は、中小企業にとってもブランドは重要であるというお話をさせていただきました。

今回は、少し前の話になってしまいますが、
八つ橋が問題としてワイドショーに取り上げられておりました。
そのあたりのお話しをさせていただければと、思っております。

 

八つ橋は、京都を代表するお菓子です。
その八つ橋を作る複数の会社の一つが「○○年から」といったようなことを
パッケージにつけて販売するようになってきたが、
他の会社がその表記に異議を述べたということのようです。

正直、この部分というのは、
景品表示法の優良誤認とかに該当する可能性があるのかなぁと思っています。
ただ、始めた年代が多少古いとか新しいとかが数百年単位のお菓子について、
数十年の差がその製品の優良である、ということになるかは
微妙ではないかとは個人的に思います。

また、異議を述べている会社にしても
それを申し立てる立場に該当するのかも微妙に感じます。
消費者を代弁してということなのかもしれません。

 

さてさて、この問題の本質は実は、
八つ橋というお菓子を売っている会社が複数あり
そのお店間で差別化ができていないため
そういう微妙な表記部分でしか違いを出せないということなのではないかと私は思っています。

しかし、本来であれば八つ橋は誰かが発明したお菓子であり、
その時点で商標登録していればこのような問題になることはなかったのです。

その時には、その登録者だけが「八つ橋」を売ることができるのだからです。

調べてみたのですが、江戸時代に商標制度はあったことはあったようですが、
今のようにしっかりとした制度ではなかったようです。

ともかく、そういったわけで独占されなかったがために、
だれもが八つ橋という名前を使うことができ、
かつ、あのようなお菓子を「八つ橋」という一般名称のものと
認識することになってしまっているのです。

 

ここで、一般名称とは
そのものについてメーカなどを特定せずに表す表示のことです。

例えば、パソコン、ノート、リンゴ、弁理士などが一般名称ということになります。

現在も日々新しいお菓子は生まれており、人気のお菓子も移り変わっております。

そして、爆発的に人気が生まれるため、
他社の人気商品にあやかりたいと思う人も、やはり多くいることになります。

そのため、お菓子業界というのは、
商品の名前がまねされやすい業界だといえます。

そういった理由で、
人気商品ができたら一刻も早く、その名前を商標登録しておくことはとても意味があります。
他社がまねしてきて、八つ橋のように一般名称となってからでは遅いのです。

そのように、一般名称化してしまったものに、
キャタピラー、ドライアイス、エスカレータなどがあります。

一般名称化とブランドの関係

次回は、ちょっとだけ趣向を変えて、
売買契約書などで出てくる危険負担と所有権について記載したいと思っております。

以上

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