コラム(各種情報)

第43回 世界商標 マドリッドプロトコル

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

世界商標 マドリッドプロトコル

植村のコラム43

前回は、今回は世界特許というものについて記載させていただきました。
今回は、世界商標というものについて書かせていただくつもりです。

世界特許

前回世界特許というものは存在しないとお話しいたしました。
同じように、世界商標も存在しません。その理由も特許と同じです。
(忘れてしまった方のために、特許等の商標は国家主権にかかわるものであるからです)。

ただ、商標にも特許と同じように、世界商標に似た制度はあります。
マドリッドプロトコルというものです。

これは、出願時に、商標登録したい国を選んで、
その国に対する手数料を追加で支払って出願すると、
その国に出願したことになるというものです。

特許の場合は、その後各国に移行して
通常のその国で特許を取る手続きをしなければならなかったのですが、
商標の場合その必要はありません。

このマドリッドプロトコルでの出願はそのまま、
選んだ国での出願と同じ扱いになります。

そして、選ばれた国は、
所定の期間以内にもし登録したくない理由がある場合は、
このマドリッドプロトコルを使って出願した出願人に通知しなければなりません。
それがなければ、登録になる制度なのです。

セントラルアタック

ただ、この制度で注意しなければならないことがあります。
それは、このマドリッドプロトコルを利用するには、
その本国(我々の場合は日本)での出願又は登録があることが必要ですし、
この本国での出願等又は登録が、登録にならない又は無効になると、
マドリッドプロトコルの制度で出願した出願が全て無駄になるということがあります。

マドリッドプロトコルは本国でも出願が条件

このように、本国出願の登録は肝になるということになります。
逆に言うと、その商標を登録したくない第三者は、
本国の出願又は登録を叩くことが有効な手段となります。

このことを、「セントラルアタック」といいます。
うーん、なんかかっこいい名前ですね。(笑)

という、ことをここまで説明していて、
うーん、あんまり面白い話をしていないと気が付きました。
話題選びを間違えてしまったようです。反省しております。

カナダ加盟

何か少しでも面白い話題はないでしょうか。思いつきました。

一般に、このマドリッドプロトコルも含めて知財の条約というのは、
先進国は率先して入り、発展途上国はなかなか入らないという傾向があります。

そういった理由で、アセアン諸国は、ずっと入っていなくて、
最近やっと少しづつ入り始めたという状況です。

例えば、
インド2013年、タイは2017年、
インドネシアは2018年、アフガニスタン2018年という感じです。

そんな中、意外な国が、今年6月に加入しました。
それは、カナダです。
うーん、カナダって発展途上国に負けてるがな!(笑)

すみません、カナダの方、カナダ大好きな方、
馬鹿にしてすみません。お許しください。

 

さてさて、今回は世界商標の話をしたのですが、面白い話題がなく苦労しました。

次は、特許とは関係ないのですが、
最近読んだ私にとって衝撃的な本であった
ホモ・デウスという本の話をさせていただきます。
たぶん、皆さんにも新たな視点を与えてくれる本だと思います。

以上

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