<> コラム

最高価値の商標の価値がゼロになる恐怖

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

最高価値の商標の価値がゼロになる恐怖

前回 味の素商法ということで、一般名称のようになった商標がとても強力で、
商標法が本来認めていない市場の独占を実質的に可能にする
ということを書かせていただきました。

商標が極めて大きな価値を持っているという状況になります。
(味の素社の例を考えてくださると分かりやすいです)。

しかし、この方法にはやり方を誤ると大変なことになります。

一般名称のように使われている現状 ≒ 一般名称
ということです。

そうなってしまうと、それは、個々の企業の財産として商標には適さない
ということになってしまいます。

そうなってしまうと、当然登録されません(商標法第3条第1項第3号)。
もし登録になっていても、無効理由ともなりかねません(商標法第46条第1項第1号)。
無効にならなくても、その利用は自由となってしまいます(商標法第26条第1項第2号)。

そうなると、極めて大きな価値があった商標の価値が、
一気に無価値に近い状況に落ちてしまうことになります。

ということで、味の素商法は、きちっとコントロールして、やらないと
危険ということになります。

ほぼ一般名称化していると登録は難しい

味の素社では、かなりの費用をかけて、一般名称化を防ぐために
テレビ局、雑誌、料理本などに使わなように連絡したと聞いております。
正直これがうまくいったのか不明です。

今でも、味の素を一般名称だと思っている方は多いからです。
が、一応、その努力が認められたということなのだと思いますが、
味の素の商標は維持されているようです。

ちなみにこれに失敗してしまった例としては、

① うどんすき
② エスカレータ
② キャタピラー
③ ドライアイス

等があります。他にもたくさんあります。

皆さんは、これらが、実はもともとは商標で、
一企業の商品名に過ぎなかったということを知っていましたか。

 

―― 読者の皆さんへ知財の専門家としてアドバイス ――

一般名称化戦略は、諸刃の剣です。
ただ、うまく利用すれば、非常に強力な商売の道具になります。

そのため、うまく制御して商売にお役立て下さい。

―― その他 ――

では、次回をお楽しみにしてください。
次回は、時事ネタを書きたいと思います。

また、今回も最後までお読み下さり、
本当に有難うございます。

月2回程度の配信を予定しており、
購読いただく方に過度のご負担をかけないようにする予定です。

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弊所のHPに来ていただければ、読めます。「ポラリスIP」で検索すればあります。

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―― 編集後記 ――

「恐怖の夏」

正直、夏が怖いです。
いえ、もっと正確に言うと「夏休みが怖いです」。

今まで、学校に行っていた長男が、一日中家にいると思うと、憂鬱です。
ちなみに、どっか連れて行けとも言われています。

父は、家で寝ていたいです。を許してくれるわけもないです。
今のところノープランです。
どうしたらいいのでしょうか。

どこか、子供を放し飼いできる場所があれば、是非教えてください(懇願)