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大掃除は年末だけ・・・|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

大掃除は年末だけ・・・

12月10日付のヤフー・ニュースに
興味深い記事を目にしましたので紹介させていただきます。

年末の風物詩である大掃除。
実は法律で会社の経営者や飲食店のオーナーといった事業者に義務付けられており
やらなければ刑罰まで科せられる決まりとなっているのをご存じでしょうか。

「半年に一回」ルール

労働安全衛生法は、労働者を雇用して何らかの事業を行う者に対し
職場における労働者の安全や健康の確保や、快適な職場環境の形成促進のため
さまざまな措置を義務付けています。

詳細は厚生労働省の労働安全衛生規則や事務所衛生基準規則に記されており
清掃の実施については次のとおりです。

「日常行う清掃のほか、大掃除を6ヶ月以内ごとに1回、定期にまた統一的に行うこと」

すなわち、半年に1回以上は必ず大掃除を行わなければならないとされています。
逆に、半年に1回以上でありさえすれば、必ずしも年末に実施する必要はないし、
自社の従業員の手による必要はなく、専門の清掃業者に委託しても構わないそうです。

何をもって「大掃除」をした! と言えるかですが
わざわざ「日常行う清掃のほか」と規定している以上
これを超えるレベルのもの、すなわち普段は手が届かない場所まで
念入りに大がかりな清掃を行うことを意味すると考えるべきでしょう。

もしきちんと決められた回数の大掃除を実施しなければ
労働安全衛生法違反であり、会社の経営者や店のオーナーには
6ヶ月以下の懲役、又は50万円以下の罰金が科せられることになっています。

男女別トイレの設置も

この法律や規則では、事業者の講じるべき措置として
意外と思えるような細かなことまで厳格に定められています。

例えば、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き
男性用と女性用に区別したトイレを必ず設けなければならないそうです。

しかもその数は、同時に就業する労働者の数に応じ
男性用小便器だと60人あたり1個以上、大便器だと20人あたり1個以上と
かなりキッチリと決められています。

男性従業員が多く女性従業員が1人だけというオフィスだと、
男女共用トイレが1つしかないようなところ多いでしょうが実はアウト。

 

ある日本酒メーカーの酒蔵を見学した際、仕事がら男性の蔵人しかいないのに
男性用とは別に女性用トイレを設置しているのを見て
法令遵守に向けた意識の高さに感心させられました。

労働安全衛生法と大掃除

コンビニチェーンのトイレ

狭い店舗中心のコンビニチェーンは男女共用トイレが1つで、これが問題視されています。

セブンイレブンの女性オーナーらが、大手コンビニ各社に対し
男女別トイレの改修要請に乗り出したといいます。

女性従業員が定着しにくい要因は、こうしたトイレ事情にもあるようです。
しかも、そもそも論として労働安全衛生法違反にほかなりません。
従業員用の男女別トイレの設置義務は、会社や店舗の規模、事業内容などを問わないからです。

大掃除の場合と同じく、違反には6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる
れっきとした犯罪です。

もちろん労働基準監督署に通報があったとしても、いきなり罰則が適用されるわけではなく
まずは立ち入り調査や行政指導から始まることになりますが、
一向に改善されず、放置が続けば、刑事事件も視野に入ってくると思われます。

コンプライアンスの重視が叫ばれている昨今、
こうした細かな法的ルールを知り遵守することも重要です。

安全や健康に気配りした快適な職場環境づくりは
従業員の満足度や作業効率を上げることにもつながることでしょう。

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