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メガチェック|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

メガチェック

機器保全のために定期的に絶縁抵抗を計測する必要があります。
また機器故障の際にも絶縁計測をして調査することがあります。

絶縁抵抗とは

導体がしっかり外部に電気が漏れないようになっているかをチェックします。

電路がしっかり保護されていれば電気は外に漏れることなく回路を流れます。
絶縁が良い状態だと、導体が外部から確実に切り離されて導体のみを電気が流れますが
被覆が劣化したり損傷していると、そこから外部に漏れて絶縁が悪くなります。

導体の絶縁体が高い抵抗を持っているかを調べます。
絶縁の抵抗が高ければ電流を外に漏らすことは無いのです。

絶縁が良好な状態では∞メガオーム、絶縁が全くされていないと0メガオームです。
なので絶縁抵抗は電気抵抗の計測をしていることになります。

絶縁抵抗の種類について

絶縁抵抗には電路や機器と対アース絶縁抵抗と電路同士の線間絶縁抵抗の二種類があります。

対アース絶縁抵抗(対地絶縁抵抗)

アースに対して絶縁状態が良好かどうかを計測します。
対アースの絶縁が悪いと地絡していることになります。
絶縁抵抗系の片方をアース極に接続してチェックしたい配線にプローブ(探針)を当てます。

線間絶縁抵抗

導線間の絶縁抵抗を計測します。
線間の絶縁が悪いということは短絡状態になっている可能性があります。

絶縁抵抗計

メガテスターと呼ばれることもあります。
内蔵の電池を昇圧してプローブから流して漏れ電流から絶縁状態を計測します。

そして直流電流を使用します。
なぜなら、交流電流では静電容量の影響を受けてしまうので
絶縁抵抗を正確に計測出来ないためです。

計測する時は、回路に電気が来ていないようにしないといけません。
上部のブレーカーをオフにするなどの準備が必要です。

半導体は絶縁抵抗計の高電圧によって破損する可能性があるので、
計測する回路に半導体を含む機器がある場合は、回路から切り離すなどの対策が必要です。

天候による影響

雨の時や湿度が高い日には絶縁部が吸湿したり表面が濡れたりしていると、
その影響で絶縁抵抗が悪化します。

絶縁碍子は塩分や水分が表面に付着することで、絶縁性能を低下させられてしまいます。
ホコリが付着していると、吸湿しやすいので、絶縁低下の原因になります。
火災の原因にもなりうるので、定期的に付着したホコリや粉塵の清掃作業は重要です。

絶縁碍子を定期清掃しましょう

絶縁抵抗の計測方法

調べたい回路のみに絶縁抵抗計を当てること。
活線状態では計測出来ないのでMCB(配線用遮断器)をオフにします。

対アース

まず絶縁抵抗のクリップでアースを取ります。
テスト端子をクリップとは別の場所のアースに当て、0MΩと表示されれば、
アースが取れていることが分かります。
0MΩにならなければ正しく測定出来ないので、アースを他の場所で取り直してください。

絶縁抵抗測定では、確実にアースを取りましょう。

地絡部分とメガテスターのアースクリップ間で回路が成立します。
この抵抗値が高いか低いかを計測しています。

電磁接触器の二次側の端子に赤色のプローブを1相づつ順番に当てていきます。
モーターの内部でそれぞれの配線はつながっているので、
基本的には3相とも絶縁抵抗の値は同じ数値になります。

しかし回路のどこかに断線箇所があることも考えられるので、3相とも計測します。

0MΩ(もしくは近い数値)になっている場合は、
どこかで被覆が剥けたり、結露や雨水が侵入している可能性があります。
この状態で運転した場合、使用しているブレーカーによって違いが出ます。
地絡検出機能がないと、ブレーカーをトリップすることがありません。

同じ数値にならないケース

どこかに断線箇所があるケースだと絶縁抵抗の数値にバラツキが出ます。

その断線箇所がモーター内部である場合は外観では分からないので、
マルチテスターでモーターのそれぞれのコイル抵抗を計測して、
どれが断線しているかを診断します。

ただ断線している場合はモーターが欠相運転になり、残っている2相の電流が増えます。
この状態で運転を継続させると、
サーマルリレーがトリップしてモーターを保護して停止します。

線間絶縁抵抗

配線同士の絶縁状態を確認します。
配線にそれぞれアースとプローブを当てます。

モーター内部で接続されているので、そのまま計測すると、0MΩになるので
モーターの配線は解線してから計測します。
これで電磁開閉器の二次側からモーターの一次側の線間の絶縁が測定出来ます。

三相全ての組み合わせを計測します。

この計測値が0MΩ(これに近い数値)では配線同士が短絡状態にある事になります。
火花の発生による火災等の災害に繋がる恐れもあります。

電気が他の配線に流れて意図しない機器の誤作動、誤検出を引き起こす可能性もあります。

多芯のキャブタイヤケーブルでは同時に多数の配線が混触している可能性があるので、
捻じれや曲げ戻しの多いケーブルの調査は、組み合わせが多く大変です。

くれぐれも、十分注意して実施しましょう。
(ゴム手袋は必携です!)

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